なぜ日ハムは新庄剛志氏を監督に抜擢したのか…課せられた2つのミッションとは?
「来シーズンが札幌ドーム本拠地の最終年、2023年においては現在建設を進めております北広島市の『エスコンフィールドHOKKAIDO』に本拠地を移すという球団の歴史において大きなエポックを控えています。このような重要な時期にチームを任せられるのは、ファイターズの北海道の初年度からの歩みをご存じで、そして北海道で初めて日本一の偉業を成し遂げ、その功績者、立役者だった新庄監督が、もっともふさわしいと考えて決断しました。北海道はもとよりプロ野球界、日本スポーツ界に新しい風が吹き荒れると期待しております」 意識しているのは2023年に開場する新球場「エスコンフィールドHOKKAIDO」に向けてのチームのイメージ回復だ。畑オーナーは「それ(新球場)に向けてのステージと来シーズンは期待したい」と重ねた。 チームは3年連続5位と低迷。今季は、中田翔の暴行事件という不祥事がおき、その無期限出場停止処分中に巨人にトレード。まったくの説明不足のまま、生え抜きの主砲を追い払った球団の対応にファンのバッシングの声が高まり、新型コロナ禍による観客数の制限なども手伝い、北海道内でのファン離れが深刻化していた。 斎藤佑樹も引退し、大谷翔平のようなスターは不在。スター候補の清宮幸太郎も今季は一度も1軍昇格がないなど伸び悩んでいる。このままでは再来年の新球場開場に向けてマーケットを活性化させることができず、新球場の各種スポンサー営業にも影響を与えかねない。重要な新球場プレシーズンの起爆剤として新庄氏が最適だったのだ。 また本社のニッポンハムグループは、今年持続可能な社会の実現に向けて「5つのマテリアリティ(重要課題)」の達成を目標として掲げた。 畑オーナーが「そのひとつに食とスポーツを通じて地域、社会との共創共栄というのがある。新庄監督には共に進めるパートナーとしても期待しています」と説明したように、グループ内においての日ハムファイターズの役割も大きく、全社的な経営戦略上、イメージアップが不可欠だったのである。 川村社長は、「新庄新監督の現役時代を思い返すと新庄劇場と称されたパフォーマンスの数々といった華やかな一面が非常に印象深いわけですが、その一方で札幌ドームを満員にする。さらにはチームを日本一にすると宣言され、それを有言実行するために綿密な戦略を立て陰の努力を惜しまないということは当時を知るものの共通認識であります」と、抜擢理由に新庄氏のパフォーマンスの裏にある野球への実直な姿勢があることを付け加えた。 そして「監督を要請する際にお願いを2つしている」と2つのミッションを課したことを明かした。