JRA初の女性調教師、栗東に厩舎開業へ…「競馬界を志す女性の相談にも乗りたい」
日本中央競馬会(JRA)の女性調教師が来年3月、初めて厩舎(きゅうしゃ)を開業する。16日に前川恭子調教師(47)が来春の新規開業者(9人)として発表された。滋賀県栗東市のトレーニングセンターに厩舎を構える予定で、「女性でもできる仕事だと知ってもらいたい」と意気込む。 【写真】スーツ姿の前川氏
千葉県出身で、実家近くの牧場で馬に興味を持ち、11歳で乗馬を始めた。大学では馬術部に所属し、卒業後は北海道での牧場勤務を経て、2003年にJRAの厩務員になると、04年に夫と同じ調教助手になった。
厩舎で働いていく中で次第に、「もっと多くの馬に関わり、自分なりに考えたことを馬のためにしたい」という思いが募り、育児が落ち着いたタイミングで調教師試験に挑んだ。昨年、5度目の受験で約15倍の難関を突破し、女性で初の合格者となった。
調教師は馬主から預かった馬を管理し、スタッフとともにレースへ出走させる。今年は他厩舎などで学ぶ技術調教師として最多勝5度の矢作芳人調教師(63)に師事し、経験を積んできた。
遠征で海外へ行くと、厩舎などで多くの女性が働いており、スタッフの男女比率は、ほぼ半々だったという。JRAでは11月20日時点で、女性は騎手が138人のうち6人、調教師は191中1人、厩舎スタッフは2310人のうち35人。地方競馬全国協会によると、地方には現在、女性調教師が7人いるものの、「日本はまだ女性が活躍する場が少ない。競馬界を志す女性の相談にも乗りたい」と自身の厩舎に女性調教助手1人を入れる予定だ。
開業に向け、「誰もが働きやすい厩舎をつくり、GIなど大きなレースに勝って、長く愛される馬を育てたい」と準備を進める。