「処分甘すぎ」の声でネット炎上…岩田康騎手が起こした”暴言幅寄せ事件”の開催4日間の騎乗停止処分は適切だったのか?
岩田康騎手は1991年に兵庫競馬でデビュー。天才的なスタートセンスと迫力ある騎乗スタイルでメキメキと台頭し、2000年にリーディングに立つと、その後も第一人者として活躍。2004年には菊花賞をデルタブルースで優勝し、地方所属騎手として初めてJRAのG1を制覇。2006年にJRAに移籍するといきなり126勝。その後も”イン突きの名人”とも言われ、コンスタントに年間100勝以上の勝ち星を挙げ、2012年には、ディープブリランテで日本ダービーを、ロードカナロアで香港スプリントを制覇するなど、順風満帆な騎手人生を送った。 また岩田康騎手を知る関係者によると、移籍当初は地方競馬からの先駆者的存在だった安藤勝己騎手(現競馬評論家)を慕い、アドバイスしてもらうなど貪欲に勝利を目指したという。後輩に対しても親分肌な面もあったとも聞く。 しかしトップジョッキーの仲間入りをしてからは態度が変わり始め、報道陣と衝突したり、奇声を発しての騎乗、後輩騎手に対して、どう喝まがいの言葉、勝った後のオーバーで意味不明なガッツポーズをするようになるなど迷走した。息子の望来騎手が2019年にデビューしたことを喜び自身も刺激を受けているように見えたが、新型コロナ禍で移動が禁止されている育成牧場に乗りに行くなど、始末書を書くような不始末も起こしている。報道陣には一部を除いて取材拒否。藤懸騎手には以前から”いじめ行為”をしていたという話もある。 とにかく競馬界の評判は最悪で、関係者からは、「息子も騎手なのにもう少し大人にならないと」「いつかは、こんなことになるんじゃないかと思っていた」という声が多く聞かれた。 それにもかかわらず、今回の騎乗停止処分は開催4日間に留まった。ファンや関係者の間からは「甘すぎる」の声が殺到。「過去に何度も始末書を書いている騎手がたった4日でいいのか」、「免許剥奪でもおかしくないのでは?」、「厩舎や馬主が騎乗依頼するからダメなんだ」などの批判でネットは炎上騒ぎになった。 JRAでは、2005年以降、走行妨害などを起こした騎手への処分は、基本4日間となっているが、今回のような事件に対しての処分の線引きは決まっていない。故意的に騎手を落とした場合や騎手のドーピング行為、重大な不祥事(触法行為など)などがあった場合は長期もしくは無期限の騎乗停止、最悪の場合は騎手免許が取り消されることもある。過去の粗暴事件としては、1999年に後藤浩輝騎手(故人)が騎手寮内で後輩騎手の吉田豊を木刀で暴行する事件を起こして4か月の騎乗停止処分が下された。また問題の種類は違うが2013年には調整ルームで携帯電話を使用してツイッターに複数回返信した原田敬伍騎手が30日の騎乗停止の処分。2017年にはスピード違反を起こした松田大作騎手が半年間の騎乗停止処分を受けるなどしている。 JRAとしては公正確保や暴力追放に力を入れているが、最近では、大塚海渡騎手への調教師によるパワハラ被害も明るみに出たばかり。処分が甘ければ、問題再発の土壌にもなりかねない。そう考えると今回の岩田康騎手への開催4日間という騎乗停止処分は、適切ではなかったのかもしれない。JRAは、新型コロナの助成金の不正受給問題でも関係した調教師、騎手の名前の公表を控えるなど、どこか身内への対応が甘くも映る。ロマンとお金をかけている競馬ファンの信頼を失わないことが重要なのだが…。