パリは最もサステナブルな五輪を開催できるのか? 地球規模のスポーツイベントを再考する
使い捨てプラゼロや、フランスならではのサステナブルな食事にも注目
【使い捨てプラスチックゼロ】 今回のオリンピック・パラリンピックでは「使い捨てプラスチックゼロ」が掲げられている。市内競技会場へはペットボトルの持ち込みが原則禁止となり、マラソン競技の給水所では、再利用可能なカップを使用する計画だ。 数年前からパリ市内に設置されている1,200箇所の水飲み場や、無料でボトルを補充できる市内の1,000の店舗によってサポートされることになる。パリ大会に向けてこれらの取り組みはさらに強化され、2024年9月以降も、パリのすべてのランニングイベントで使い捨てプラスチックが排除される予定だ。 【オリンピックの表彰台は、ごみ?】 今回、世界トップクラスのアスリートたちが金メダルを受け取ることになる場所はなんと、ごみの上。表彰台はエッフェル塔に着想を得たデザインで、フランス産の木材と、パリ市内およびフランス沿岸で集められた廃プラスチックを利用し、100%リサイクルされた素材から作られている。 これはパリのスタートアップ「Le Pavé(ル・パヴェ)」がパリ郊外の工場で製造したものである。今回ル・パヴェは、パリ大会のために建設された近隣2つのスポーツアリーナ観覧席1万席の製作も手がけている。これらはすべて、使用済みのシャンプーボトルと数百万個の色とりどりのボトルキャップから製造されたものだ。 【ベジタリアン料理が採用。食事によるカーボンフットプリントを削減】 オリンピック村のアスリートレストランでは、1日4万食が提供され、1万5,000人のアスリートのために500種類の承認レシピが用意されている。 そうした食事によるカーボンフットプリントを削減するために、すべての食事はパリの主催者が設定した厳しいサステナブル基準を満たす必要があり、その80%はフランス産でなければならない。また、各会場ではベジタリアン向けのオプションを提供する必要があり、大会期間中に提供される食事の50%以上が植物ベースとなる。 【競技施設への自転車アクセスの向上】 競技施設への自転車アクセスを向上させるため、パリ市とセーヌサンドニ県、グラン・パリ都市圏、オリンピック組織委員会は「オリンピスト」と呼ばれる105キロメートルの自転車道ネットワークを整備した。 この自転車道はパリ大会期間中だけでなくその後も利用され、地域の自転車利用促進や日常の移動に役立てるとされている。パリ市内に70キロメートル、パリ郊外にあるセーヌサンドニ(Seine-Saint-Denis)県に35キロメートルが整備され、多くの競技施設を結ぶ。加えて、1万3,000台分の自転車駐輪場と臨時のレンタルサイクル・ヴェリブステーションも設置されることとなる。