「〝石破構文〟だと攻めにくい」 回りくどさが「熟議」演出、首相が初の予算委乗り切る
石破茂首相は6日、就任後初めて臨んだ衆参両院予算委員会での論戦を終えた。答弁能力に対する与野党の評価はまずまずで、臨時国会の第一関門は乗り切ったといえそうだ。独特のまどろっこしい言い回しが、「熟議」の雰囲気を演出している側面もある。 「ちょっと変わったかもしれない。熟議の国会にふさわしくなってきた」 6日の参院予算委で営農型太陽光発電の規制の在り方を尋ねた立憲民主党の小沼巧氏(茨城選挙区)は、首相の答弁にこう賛辞を贈った。茨城県の方言を用いて、岸田文雄前首相の答え方を「ごじゃっぺ(いい加減)」と批判し、石破首相に代わったことで「少し希望が持てた」とも語った。 〝石破構文〟は回りくどさが際立つ。6日の質疑では、政治資金の使途公表に配慮が必要な「要配慮支出」を設けた自民党案の意図を追及された。透明性確保を妨げかねないという見方を、首相は初めに「邪推」と評したが、すぐさま「失礼。『推理』が働こうかと思う」と修正し、さらに悩んだあげく「『ご懸念』が出ようかと思う」と言い換えた。 スマートな答弁とは言いがたいが、立民中堅は「誠実に質問者と向き合っている雰囲気になる。最近の首相にいなかったタイプで、実に攻めにくい」と語る。 ただ、正面から問いに答えない場面も多く、5日の衆院予算委で対決した立民の野田佳彦代表は「民意からかけ離れた反省のない態度だ」と断じた。「論戦力」の評価が定まるまでには、ひと山もふた山もありそうだ。(松本学)