「リーチ確保のための最適化にとどまらず、メディアとコンテンツを多様に捉える」: 講談社 長崎 亘宏 氏
──2024年に向け見えてきた課題はなんですか。
最近の大手広告会社による分析では、メディア投資に対して得られるキャンペーン認知率が、10年前と比べて大幅に低下していることが分かりました。それは単に多メディア化や情報過多などが引き起こした非効率だけで語ることはできません。私はデジタル広告を中心に、生活者からの広告受容性が低下していると考えています。 2024年は従来のメディアプランニングの上位概念が問われるでしょう。今後は、マス・デジタルにかかわらず長らく信奉された、リーチ確保のためのメディア最適化のみでは不十分で、「メディア関与に則したコンテンツ最適化」がより重要になると見ています。そのためにはメディアとコンテンツを多様に捉える必要があります。例えば、生活者の個人志向に応えるコンテンツはゲームの中に存在するかもしれませんし、社会志向に応えるそれは企業のオウンドメディアに求められるかもしれません。生活者基点で良質なコンテンツを循環させるメディアプランニング。それは広告業界において、ある意味ではCookieの代替技術によるリターゲティングを考えるよりも、優先順位が高いのではないでしょうか?
──2024年にチャレンジしたい取り組みを教えてください。
当社メディアビジネス部門の2024年のスローガンは、「超メディアビジネス」です。大きな時代の変化のなかで、あえて自らのビジネスドメイン、広告プロダクト、セールス体制をデフォルト化すること。そのうえで固定概念やバリアを壊して、再構築したいと考えています。 そして、過去10年で築いてきた広告主企業、広告会社との関係は、同じゴールに向かうためによりフラットになっており、たとえれば「出稿から協業へ」のシフトでした。今後はさらに「協業から共同事業化へ」を掲げて、一歩一歩進めていけたらと考えています。 ・年末年始企画「IN/OUT 2024」の記事一覧 Edited by DIGIDAY[日本版]編集部
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