【特集】「飼い主が自ら命を…」一生一緒にいたくても、様々な理由で起きる『ペットの飼育崩壊』飼い主と動物、両方の“命”に寄り添う現場に密着「高齢者もペットも両方とも見守る」
コロナ禍もあり、飼い主のさまざまな事情によって、行き場を失う猫は増えているといいます。 (西尾さん) 「この子の飼い主だった方は、自ら命を絶ってしまいました。うちには、不動産会社のほうからご連絡があって、保護に行きました。玄関に入って、まず1枚の紙がありました。そこには、『猫がいます。だから、ドアはすぐに閉めてください』『2人がかりで、ネットで捕まえてください』ということが書かれていました。今から亡くなろうとしている方が、もっと恨みつらみってあったと思うんですけど、そのことだけが書かれていて…」
飼い主が亡くなり、2022年11月に保護された11歳の猫。施設では愛美(あいみ)と名付け、譲渡会に参加して、里親を探すことに決めました。 (西尾さん) 「この子を次に渡すときには、絶対に幸せになるようにしてほしいし、飼育放棄が絶対にないように見つけるつもりです。新しい家族のもとで最後まで…それをきっと飼い主の方も望んでいたと思います」
譲渡会の当日。会場には、尼崎市・伊丹市・宝塚市にある4つの保護団体から、26匹の猫が参加しました。そこには、愛美ちゃんの姿も。
(愛美の保護に同行・竹下雅子さん) 「薄暗い部屋で、半月間いました。一人ぼっちで」 (譲渡会に参加した家族) 「前の飼い主さんは、自殺されたんですか?」 (竹下さん) 「はい。最期の手紙が、本当に猫のことしか書いていなくて。どうか保護してあげてください、と」 (譲渡会に参加した家族) 「そうかー…」
愛美に興味を示す家族もいましたが、猫の11歳は人間でいうと60歳ほど。子猫に人気が集中するのも、また現実です。 (竹下さん) 「まだ愛美ちゃんにお声はかかっていないですけど、この子自身が穏やかに過ごせるというのが、最終目標なので。こういう所で、そういうふうに保護された子がいるんだよ、ということを知ってもらうだけでも良いのかなと思っています」 高齢化や様々な事情が招く、ペットの飼育崩壊―それは、孤立を深める人々の暮らしの“今”を表しているのかもしれません。 (「かんさい情報ネットten.」2023年10月16日放送)
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