岩谷翔吾、親友・横浜流星と二人三脚で叶えた作家デビュー「ただただ流星と一緒に面白いことがしたかったんです」
流星の家のテーブルにずっと『選択』の原稿があった
――水たまりの中に落ちた桜の花びらが自然と亮と重なるように描写されていたり、情景描写を通じて登場人物の心情が語られているところが非常に小説として優れているなと感じました。 ありがとうございます。地の文に関してはめちゃくちゃ苦労しました。最初はデビュー作ということで、エッジの効いた比喩表現にこだわりたくて、たった数行を1日かけて考えるみたいなこともあったんです。でもあるとき、流星から「荒削りでいいんじゃない?」と言われて。 僕も流星もまだ27、8歳。若い感性だから描けるスピード感を大事にしていこうと。きっと大人の方が読んだら、「ここはもっと丁寧に心理描写をして」と感じるところもあると思うんです。でもそこはあえて荒削りのまま行きたかった。 今やTikTokですら30秒というだけで長くてスクロールされる時代。そんな時代を生きる僕たちのスピード感はこれだった。ページ数も本当はもっとあったんですけど、かなり削ったんですよ。でもおかげで、今の若者はこれですと信念を持って言えるものができました。 ――横浜さんとは相当推敲を重ねたんじゃないですか。 ラリーでいうと100回ぐらいはやったんじゃないかな。毎回長文のメッセージが送られてきて。あと、誤字脱字も全部指摘してくれて、スクショで送られてくるんです。 ――なんと有能な……!(笑) 本当ですよね(笑)。僕も何回も読み返すんですけど、それでも見落としてしまう誤字脱字というのがあって、それを流星は全部指摘してくれる。忙しいはずなのに、一体どうやって時間を割いてるんだろうって。流星の家に行くと、いつもテーブルにそのときやっている作品の台本があって。その横に『選択』の原稿がありました。本当に高い熱量で向き合い続けてくれて、それが何よりもうれしかったです。 ――書き上げたとき、横浜さんはどんな言葉をくれましたか。 それが書き上げたという実感がなくて。たぶん今も送ったら、流星から修正が来ると思うんですよ(笑)。たまたまデッドラインが来ただけというか。ラリーは本がこうして発売することになった今もずっと続いてる感じがします。 ――じゃあ次のラリーも始まってそうな。 次のラリーは、この『選択』をどう広げていくかですね。 ――つまりそれは映像化に向けてということでしょうか。 小説だけにこだわらず、この物語をいろんな人を巻き込んでワクワクさせるプロジェクトにしていきたいなという気持ちはあります。なので、ここからできることをどんどん進めていきたいです。