今年の国内女子ツアー年間女王・竹田麗央のドライバースウィングをAIで分析
右から左へのプレッシャーシフトは、スウィングアークが大きくなる
それでは、アマチュアのケースと竹田選手の違いを3Dアバターで比較してみましょう。左がアマチュア、右が竹田選手のインパクトです。大きなラインはクラブヘッドのアーク(円弧)、小さなラインはハンドパス(手の軌道)を表しています。最もわかりやすい違いはバックスウィングとダウンスウィングのクラブヘッドのアークとハンドパスの大きさです。左のアマチュアは右から左への動きが少ないため、クラブヘッドのアークとハンドパスともに小さく、バックスウィングとダウンスウィングでほぼ同じようなアークを描いているのに対して、右の竹田選手はバックスウィングで大きく長いアークを描き、逆にダウンスウィングでは小さく短いアークになっています。 このクラブヘッドと手が描くアークのバックスウィングとダウンスウィングの違いは、海外では「バナナ」と呼ばれる事もあります。この「バナナ」の左右幅が大きいということは、バックスウィングのアークは大きく、ダウンスウィングのアークは小さいということになります。この「バナナ」の左右幅は基本的に大きいほどクラブスピードを上げるのに有利に働きます。
バックスウィングは大きなアークがクラブスピードに、ダウンスウィングは小さなアークが加速につながる
最後は、「なぜバナナの左右幅が大きいほうがクラブスピードを出せるか?」について解説します。まずバックスウィングはクラブヘッドのアークが大きくなると、クラブスピードが上がります。例えば45インチのドライバーと35インチのウェッジ(※クラブの重さは同じと考えます)では、同じ大きさのスウィングをしてもクラブスピードはドライバーのほうが速くなるのと同じで、スウィングの半径は長いほうがクラブスピードは速くなります。 そしてダウンスウィングのクラブヘッドと手の半径が短いほうが良い理由ですが、仮にダウンスウィングでクラブヘッドや手の半径が大きくなると、「キャスティング」と呼ばれる手首のタメがほどけた状態になり、インパクト前に最大速度に到達してしまうのでインパクトでは減速してしまいます。しかし、ヘッドと手の半径が短ければ、手首のタメが保てるので、クラブが加速したままインパクトできます。竹田選手と言えば平均飛距離260ヤードを超える飛距離が持ち味ですが、大きな左右の圧力移動と大きな「バナナ」の幅が、その飛距離の秘訣です。 今回は、竹田麗央選手のスウィングを解説させて頂きました。来季はUSLPGAツアーに参戦する竹田選手ですが、持ち前の飛距離を武器に是非、大暴れして欲しいです!
北野達郎