ラノベはどうやって世界に広がった? 渋谷TSUTAYA「ライトノベル展2024」で知る軌跡と現在地
◾️「ライトノベル展2024」の内容は? SHIBUYA TSUTAYAで開かれている「ライトノベル展2024」は、そうしたKADOKAWAのライトノベルのイベントで、大森藤ノ『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』(SBクリエイティブ)のGA文庫や、雨森たきび『負けヒロインが多すぎる!』(小学館)のガガガ文庫は入っていない。それでも、「ライトノベル展」の名に偽りがないと言えるだけのスケールを、KADOKAWA傘下のライトノベルレーベルだけで持っていると言える。 会場には実際に、ライトノベルの歴史を記した年表が展示されている。1987年10月の「角川文庫より、ファンタジージャンルを中心としたラインナップが角川文庫・青帯として独立。後の角川スニーカー文庫の母体に」というトピックを始まりに、富野由悠季監督による『機動戦士ガンダム1』の刊行、『ドラゴンマガジン』の創刊などを経て、1988年11月の「富士見書房より富士見ファンタジア文庫が創刊」へと至って文庫レーベルとしてのライトノベルが誕生する。 このあたりの経緯を記した本に、KADOKAWAの社史『KADOKAWAのメディアミックス全史 サブカルチャーの創造と発展』がある。これによると、1986年に開催された「ファンタジーフェア」で80年代のSF小説ブーム、少女小説ブームを汲んで当時の人気作家に書き下ろしの小説を書いてもらったことが発端となり、角川文庫の中にキャラクター性の強い作品を出す「青帯」が作られ、スニーカー文庫へと続いていった。 グループの富士見書房でも、「ドラゴンマガジン」の創刊に続いて竹河聖『風の大陸』と田中芳樹『灼熱の竜騎兵』がファンタジア文庫として登場。同時に新人賞の募集が始まり、そこから神坂一『スレイヤーズ!』が現れた。『KADOKAWAのメディアミックス全史 サブカルチャーの創造と発展』自体は、社史として関係者に配られたほかは、期間限定で電子版が配布されただけで今は読むことができない。ライトノベルだけでなくゲームやアニメでの業績についても触れられているだけに、改めて刊行されて欲しいものだ。 ◾️『SAO』『Re:ゼロ』…今や世界で視聴されるアニメを盛り上げるライトノベル アニメといえば、ライトノベルは現在の日本におけるアニメの隆盛をもたらした要因のひとつと言える。まず『スレイヤーズ!』がアニメ化されて大ヒットしたことで、メディアミックスの核と捉えられるようになった。そして2003年刊行の『涼宮ハルヒの憂鬱』から始まった谷川流のシリーズが、2006年にテレビアニメ化されて爆発的な人気となり、ライトノベルのアニメ化を大いに盛り上げ、深夜アニメという枠も定着させた。