ラノベはどうやって世界に広がった? 渋谷TSUTAYA「ライトノベル展2024」で知る軌跡と現在地
渋谷がライトノベルに染まっている。11月30日から12月16日までの日程で、SHIBUYA TSUTAYAを会場に『ライトノベル展2025』が開催。 【画像】ハルヒ、エミリア、キリト…「ライトノベル展2024」の様子をチェック KADOKAWAが刊行しているライトノベル作品や関連書籍、人気作品のグッズを販売。主要な作品の表紙を並べるコーナーも作ってライトノベルのファンを楽しませている。長月達平の『Re:ゼロから始める異世界生活』の人気キャラクター、エミリア、ラム、レムが登場する映像をバックに写真を撮る外国人の姿からは、”ラノベ”が世界的な人気を獲得していることが伺える。 ◾️「ライトノベル」と呼ばれ始める前から名作を送り出してきたKADOKAWA SHIBUYA TSUTAYAの1階に足を踏み入れると、壁にずらりと並んでいるライトノベルの表紙が見える。その数から、KADOKAWAが刊行してきたライトノベルの多さが分かる。自分が読んできたライトノベルの表紙を見つけて喜ぶ年配者もいて、歴史の長さもうかがえる。 KADOKAWAからは現在、角川スニーカー文庫、富士見ファンタジア文庫、電撃文庫、MF文庫J、ファミ通文庫と主な文庫レーベルだけで5つのライトノベルが刊行されている。これに単行本のサイズで刊行されているノベルズも加わって、毎月数え切れないほどのライトノベルが送り出されている。SHIBUYA TSUTAYAの店内や外側に掲示された表紙はそれらのごく一部。現在までに世の中に出たライトノベルは何冊に上るのか? 研究意欲をそそられるテーマだ。 ライトノベルの定義についてはさまざまあって、ジュブナイルと呼ばれるティーン向けの小説に源流を求める人もいれば、SFの中でもキャラクター性が強く打ち出されたシリーズを原点とみる人もいる。そもそも「ライトノベル」という呼び方自体が、パソコン通信サービスの掲示板の中で提案され、ジュブナイルやヤングアダルト、キャラクター小説といった様々な呼び方の中から抜きん出てきたものだ。 そうした名称が定着する以前から、KADOKAWAはスニーカー文庫やファンタジア文庫といったレーベルを世に送り出し、水野良の『ロードス島戦記』や神坂一『スレイヤーズ』といった作品で歴史を築いてきた。ここに、『ブギーポップは笑わない』の電撃文庫を刊行していたアスキー・メディアワークス、ゲームのノベライズを数多く手がけていた『ファミ通文庫』を刊行していたエンターブレインが統合され、『ゼロの使い魔』が大ヒットしたMF文庫Jのメディアファクトリーも加わって、KADOKAWAにライトノベルの主要レーベルが集まる今の状況が生まれた。