“性善説”が崩壊する現代社会! 路線バスの「前乗り信用方式」は本当に続けられるのか?
都内路線に広がる前乗り信用方式
前乗り信用方式は、実は都内の一部路線に広く存在している。 例えば、三鷹駅と武蔵小金井駅を結ぶ鷹33系統、吉祥寺駅と花小金井駅を結ぶ西武バスの吉64系統、五反田駅と川崎駅を結ぶ東急バスの反01系統などがその例だ。これらの路線は、郊外の比較的長距離区間に適用されている。 一般的には後乗り・前降りの整理券対応車で運行しても問題ないエリアだが、関東バスや東急バスは整理券対応車を使用していない。西武バスも整理券対応車を使用するエリアは限定的だ。 国際興業バスのように、特定の路線に限って整理券対応車を配置する例もあるが、通常、運賃収受方式と乗降方法を営業所やエリアごとに統一することが求められている。筆者がバス事業者とのヒアリングを通じて得た情報によると、 「長時間乗車して安い運賃を払う乗客」 を見つけることは非常に少なく、その場合、記憶力の高いドライバーが支払った額より長く乗車していることに気づき、追加料金を求めることもあるという。しかし、そのようなダメージは軽微であり、 「機器のコスト」 を考慮すると、前乗り信用方式の採用には問題はないと筆者は考えている。
悪用リスクとサービスの持続可能性
要するに、前乗り信用方式は「性善説」に基づいて採用しても問題ないということだ。性善説とは 「人間の本性は本来善である」 という立場であり、すべての人間は生まれながらにして善良な性質を持ち、社会環境や教育を通じてその善性を引き出すことができると考えられている。 もちろん、「長時間乗車して安い運賃を払う乗客」のように、運賃を不正にごまかす人もゼロではないが、その数や損失、さらにドライバーや乗客のストレスを天秤にかければ、前乗り信用方式の方が合理的であると筆者は判断している。特に、 「ドライバーの退職防止」 にはストレス軽減が重要であり、前乗り信用方式の導入は有益だと考える。 ただ、性善説に基づくサービスが徐々に崩れつつあり、悪用を“ライフハック”として正当化する人が増えることで、便利なサービスが次第に消えていくという意見もネット上では少なくない。