「いま樹海にいて、死のうとしているんだ」自殺を図ろうとしたひきこもり男性に起きた奇跡…うつ病、ギャンブル借金、絶望の人生から這い上がった48歳「今が一番楽しいっすよ」と言えるワケ
あきらめなかったことが道を開く
なおさんと同じように、なんらかの理由で追い詰められ、その後何年もひきこもったまま抜け出せない人は大勢いる。 それなのに、なおさんはどうして社会復帰できたのか。ひきこもったままの人と何が違うのか。そう聞くとなおさんはしばらく考えて、こう答えた。 「“頑張る種”があったから、頑張れたんですかね。過酷だったけどキラキラしていたITの世界に戻りたいとか、趣味のポーカーも働けなくなってやめちゃったけど、大会にもう一度出て勝ちたいとか。 幼少期にいじめられたことはすごくツラかったけど、それを働けない言い訳にしなかったこともある。あとは、あきらめなかったことが大きいかな。ひきこもりの人の中には、自分は働けないって最初からあきらめちゃってる人もけっこういると正直、感じます。 でも、俺はこのままじゃダメだという危機感は常に感じてましたもん。やっぱ、普通に働いているほうが絶対いい。堂々と生きていられるから。だけど、それを当事者会とかで言うと大反発食らうから、伝え方が難しいけど」 また、自助グループの仲間の存在も大きかったそうだ。なおさんが仲よくなった人たちは、「絶対に社会復帰しよう、そのために知恵を出し合おう」という雰囲気で、みんなで励まし合えた。実は、その仲間の中には6年間付き合った恋人もいた。社会復帰に向けてお互いに頑張るうちに忙しくなって別れてしまったが、「彼女のおかげで自分も頑張れた部分もあったので」感謝しているという。 晴れて社会復帰したとはいえ、病気を抱えたまま仕事をするのは、簡単ではない。なおさんの場合、双極性障害で気分の上がり下がりがあり、対人トラブルを起こしやすい。 それに加え、リモート勤務ではコミュニケーションもチャットを使うので、ニュアンスがうまく伝わらずに行き違いが多発したそうだ。ブランクを埋め合わせるのも大変で、「めっちゃキツイっすよ」とこぼすが、表情は明るい。
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