「緊急事態条項ダメ」韓国非常戒厳で立民議員らが改憲牽制 維新・馬場氏は「整備すべき」
韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が3日夜に宣布した非常戒厳は4日未明、閣議で解除が決まった。国会などに展開した軍部隊は撤収し、1980年に全斗煥大統領(当時)が宣布して以来の「非常事態」は一定の収束を見た。隣国の状況を受け、一部の日本の野党議員から、非常事態に政府の権限強化を定める「緊急事態条項」を憲法改正で設けることを危険視する声が上がっているが、やや極端な論調も散見される。 【写真】4日、韓国の尹錫悦大統領による非常戒厳宣布に反発し、ソウルの国会周辺に殺到した人々 ■「権力者の魅惑的切り札」 「戒厳令などありえない。民主主義を独裁によって破壊しようとするものだ」 社民党の福島瑞穂党首は4日未明、韓国の状況について、X(旧ツイッター)にこう投稿した上で、「自民党などが導入しようとしている緊急事態条項はまさにこういうものを招く危険性がある」と書き込んだ。 先の衆院選で初当選した立憲民主党の藤原規真衆院議員もXで「緊急事態条項を創設したら、いつ、今この瞬間の韓国のような状況に陥るかわからない」と危惧。「権力者にとってこの上なく魅惑的な切り札だ。緊急事態条項というものの存在自体がダメなのだ」と強調した。 立民の米山隆一衆院議員はXに「分断の時代に、権力者に極端な対応をできる手段を与えることは、極めて慎重でなければならない」と書き込んだ上で、国会での改憲議論の現状について「『緊急事態条項』がいかに危ういものか、如実に示した」と指摘した。 ■韓国は国会が歯止め 韓国の憲法は公共の秩序を維持する必要がある場合、大統領に戒厳の宣布を認めている。一方、宣布するには遅滞ない国会通告を求め、国会議員の過半数が解除を要求したら、それに従わなければならない。 今回の韓国での宣言解除も、4日未明に与野党議員190人全員の賛成で戒厳解除要求決議が可決されたことを受けたものだ。 自民党の憲法改正実現本部が9月にまとめた論点整理は、大規模災害や武力攻撃、テロ・内乱、感染症蔓延など緊急事態での国会議員の任期延長と政府の権限を一時的に強める「緊急政令」の導入を可能にする案を軸とした。 また、日本維新の会や国民民主党、衆院会派「有志の会」も令和5年6月に緊急事態条項を定めた改憲条文案をまとめている。