リニア問題はいつまで続く…「静岡県のメリット示す」鈴木知事がJR東海社長に‟宣戦布告”した!
鈴木知事がJR東海に宣戦布告
6月1日の静岡空港開港15周年を祝う記念イベントに出席した鈴木康友・静岡県知事は、報道陣の質問にこたえて、「リニア開通に合わせた(東海道新幹線静岡空港)新駅の設置を(JR東海と)交渉していきたい。空港直下にあれば利便性が飛躍的に向上する」などと述べた。 【写真】富士山の保全は「静岡県の急務」…“鈴木”知事の手腕がいきなり試される! 選挙期間中に、リニアがもたらす経済効果について、「静岡空港新駅の整備促進に関する協議をJR東海と行いたい」などと同じ主張をしていた。 今回、知事就任後に初めて、鈴木氏は「静岡空港新駅を交渉する」と明言した。 JR東海に「誠意を示せ」と訴えた川勝平太前知事だが、「静岡空港新駅はリニア問題とは関係ない」と否定した。「誠意」すなわち「地域振興策」が何かを明らかにしなかった。 また、JR東海は、静岡県が要望する静岡空港新駅の設置をかたくなに拒否して、交渉の場につくことはなかった。 そのような中で、丹羽俊介JR東海社長が5日、静岡県庁を訪れ、知事就任後、初めて鈴木知事に面会した。 両者の懇談は非公開で約30分行われた。 懇談のあと、鈴木知事は「長期的な課題として、静岡空港新駅の設置について交渉していくことを伝えた。具体的な話はしなかった」などと述べた。 つまり、鈴木知事がJR東海へリニア問題の解決を踏まえ、あらためて静岡空港新駅の設置に向けて‟宣戦布告”したことを明らかにしたのだ。 丹羽社長は「課題はいろいろあるが、静岡県から話があれば対話していく」と話したが、今後、事務方による具体的な協議に入るのかどうか、いまのところ全くわからない。
日本初の「新幹線地下駅」を掲げた静岡空港の計画
静岡県のほぼ中央、広大な茶畑が続く牧之原台地の東端にある静岡空港(島田市、牧之原市)は2009年6月4日に暫定開港した。 1987年12月、空港予定地を牧之原台地と決定して以来、東京、大阪を結ぶドル箱路線を持たない空港の大赤字は必至であり、むだな公共事業の典型、「無用の長物」などの厳しい批判にさらされた。 開港延期を繰り返したあと、石川嘉延知事(当時)は2009年3月の空港開港を公約とした。空港建設反対の地権者には土地の強制収用手続きを行い、すべて問題は解決できたと思い込んでいた。 ところが、静岡県のずさんな測量で、空港計画地周辺3カ所の立ち木約150本が航空機の就航に支障があることが判明した。 立ち木所有者は「静岡県は空港建設で嘘とごまかしを重ねてきた。知事はこれまでも他の問題で現場に泥をかぶせてきた。組織のトップとして政治責任を取れ」と強硬な姿勢を崩さなかった。 5期目を目指していた石川知事は立ち木所有者と面会後、県議会に辞表を提出した。立ち木所有者は知事との約束を守り、立ち木を伐採、これで何とか6月4日の暫定開港にこぎつけたのだ。 静岡空港の計画では、年間160万~170万人を需要予測とし、その目標のために当初から日本初の「新幹線地下駅」を掲げていた。