リニア問題はいつまで続く…「静岡県のメリット示す」鈴木知事がJR東海社長に‟宣戦布告”した!
静岡空港新駅をめぐる攻防
実際には、水環境の保全策などで川勝氏がJR東海に厳しい要求をしたのも、静岡県のメリットである「静岡空港新駅」を実現させることだったことは内部資料等で明らかだった。 2022年7月、地元の地域振興を目的とするリニア沿線知事による「期成同盟会」に10番目のリニア沿線県として加入した理由も、全く同じだった。 2023年5月、東京都内で開かれた「期成同盟会」総会で、山梨県の長崎幸太郎知事が、「静岡空港新駅」整備構想に触れて、「国際空港である静岡空港だからこれまでにない画期的な新駅となる。広域にメリットが波及する」などと意義を強調した。 「期成同盟会」の研究会でその可能性を検討していくと静岡県を‟援護射撃”した。 新幹線新駅の設置で、日本経済発展の未来を担うインバウンド(訪日外国人)需要を取り込むのに最もふさわしい空港になるという発想である。 ところが、一日も早い南アルプスのリニアトンネル工事静岡工区の着工を目指すJR東海だが、「静岡空港新駅」設置に対しては、「条件が整っていない。難しい」のこれまでの姿勢を変えることはなかった。 何よりもリニア開業を優先目標として、それと並行して新幹線の振興策を考える余裕もないのだろう。 また、いくら地元負担の請願駅だとしても、JR東海は静岡、掛川間が近すぎることを問題にしていた。 静岡、掛川間の所要時間は14分であり、もし、その中間に新駅をつくれば、減速は避けられず、新幹線の意味が失われるからだ。 何とか「交渉の場」にJR東海がついてもらうことを川勝氏は目指した。 懇意とされた葛西敬之JR東海名誉会長(2022年5月死去)らさまざまなチャンネルを通じて、「静岡空港新駅」構想を話題にしたが、歴代社長は静岡空港新駅の設置をすげなくしりぞけた。 昨年5月の「期成同盟会」総会で、長崎知事はまるで2010年5月の川勝発言を再現するかのように、リニア、東海道新幹線を中心とする高速交通の将来像に「静岡空港新駅」設置を盛り込む発言を行い、研究会を立ち上げた。 川勝氏のあとを受けた鈴木知事が6月7日に開催されるリニア沿線知事の「期成同盟会」で、静岡空港新駅の設置に向けてどのような発言を行うのか大いに注目される。