リニア問題はいつまで続く…「静岡県のメリット示す」鈴木知事がJR東海社長に‟宣戦布告”した!
川勝知事時代のひと悶着
結局、新幹線地下駅のない空港は、目標予測の半分以下にも届かない惨憺たる状況となってしまった。 このため、空港開港後も新幹線新駅を静岡空港ターミナル直下に建設、空港と新幹線を結び付けることを目指した。 ところが、静岡県内の新幹線駅はすでに6駅(熱海、三島、新富士、静岡、掛川、浜松)もあり、「これ以上、新駅をつくれば新幹線のスピードが出せなくなる」などとJR東海は新たな新駅設置は不可能だと「聞く耳」さえ持たなかった。 2009年7月知事に就いた川勝氏は、翌年の2010年7月の第5回交通政策審議会中央新幹線小委員会で、「静岡県としては、沿線地域として南アルプス地域での地質調査など積極的に協力する」などと発言をした。 その前段として、「静岡空港新駅」設置の有望性を説明した上で、川勝氏は「中央新幹線の整備計画とともに東海道新幹線の新駅設置を明確化していただきたい」と迫り、最後に「東海道新幹線の新しい運用形態を生かした陸・海・空の結節によるモデル。静岡空港新駅設置がその重要な突破口となる」と締めくくった。 さらに、「(のぞみ通過の)待避線を前提にした場合、450億円ぐらい、待避線のない形でほぼ250億円と試算している。受益者負担であることを想定して、新駅の必要性を訴えている」など、地元負担による請願駅であることも明らかにしていた。 その後、リニア騒動の発端となった2017年10月の会見を機に、川勝氏は「リニアは静岡県には何のメリットもない。デメリットだけである」などとして、JR東海に「誠意を示せ」と何度も繰り返した。 2010年7月小委員会の発言から、川勝氏の求める「誠意」とは、静岡県が強く要望していた静岡空港新駅設置をJR東海に認めさせることだと誰もが考えた。 ところが、川勝氏は静岡県議会で「空港新駅はリニア問題とは関係ない。小委員会でまとめた報告書の中に、リニア開業の暁には東海道新幹線の新駅を設置するとうたわれている。それが静岡空港新駅のことだ」などとJR東海に「誠意を示せ」とした一連の発言と静岡空港新駅設置との関係を否定した。 この発言を踏まえて、リニア問題とからめて静岡空港新駅の要望は一切、行わなかった。