[懐かし名車] ホンダ シティ(初代):自由な発想から生まれたニューウェーブの魅力
NSXが世に出るはるか前に、初期のミッドシップ実験車両のベースとなったのも初代シティだった
ちなみに、のちにNSXとして結実するホンダのミッドシップ技術の初期の実験車両も、このシティがベースだったという。世界的に環境性能と安全性能の向上が求められる中で、重量増などのネガティブ要因とハンドリングを両立させる手段のひとつとしてミッドシップが研究された。そのテストベッドとして、短い全長とホイールベースに高い車高という、本来走りには不利な諸元を持つシティが選ばれたのだった。 ところで、当時は革新的だったシティのパッケージも、現代の基準では驚くにあたらない。全長3380mmに対して全高1470mm(NA車)のシティは、当時のシビックの全高1350mmと比べればたしかに100mmも背が高い。しかし、ホンダの軽自動車、N-ONEは全長3395mm、全高1610mmとさらに背が高いにもかかわらず、より自然なプロポーションを実現している。ホイールベースもシティの2220mmより300mmも長い。現行フィットの全高も1515~1570mmと、じつはシティより高いのだ。 シティの誕生から40年近くを経て、日本の軽自動車はそれを上回るパッケージを実現し、小型車の全高も世界的に高まっている。ホンダの若者たちが挑んだ非常識は、今や常識になったのである。
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月刊自家用車編集部