松田恵里、ドイツでの日本女子初の3団体統一戦でルプレヒトに判定負け 山中菫が来年にルプレヒトと4団体統一戦へ
プロボクシングのWBA、WBO、WBC世界女子アトム級王座統一戦が23日(日本時間24日)、ドイツ・ハイデルベルクで行われた。WBA、WBO統一王者の松田恵里(30)=チーム10カウント=が、WBC王者のティナ・ルプレヒト(32)=ドイツ=に0-3の10回判定負け。日本女子で初めて3団体王座統一戦に臨んだが、WBAとWBO王座の初防衛に失敗し、王座統一を許した。 松田は敵地での歴史的な一戦で奮闘。メインイベントでリングに上がり、観客を盛り上げたが及ばなかった。1回にコーナー付近で右フックを被弾してダウンを喫する苦しい立ち上がり。何度も「ティナ」コールが起こる中、プレスをかけて左右のフックを振ってくるルプレヒトを、松田が足を使ってさばく展開となった。 4回に左ボディーアッパーがヒット。7回には前に出て自分から攻撃を仕掛けた。8回以降は接近戦での打ち合いに応じたが、左右のフックを被弾し、決定打を奪えなかった。ジャッジは97-92、96-93、96-93でルプレヒトを支持。松田は判定を聞くとうつむき、拍手を送った。 1月に東京・後楽園ホールで、WBA、WBO統一王者だった黒木優子(真正)に挑戦し、2-1の10回判定勝ち。3度目の世界戦で悲願の世界王座を獲得した。9月に2週間弱、メキシコで合宿を敢行。プロアマ通じて初めての海外での試合、外国選手との試合に備えてスパーリングを重ねた。帰国後はアマチュア選手らと拳を交えてきた。18日に日本を出発し、現地で最終調整した。 日本女子の過去の欧州での世界戦は2014年と18年にドイツで、今年10月にデンマークで行われたがすべて判定で敗れている。これで4戦全敗となった。 ボクシング界で最も権威がある米国の老舗専門誌「ザ・リング」の認定ベルトもかけられていたため、ルプレヒトは4本のベルトを巻いて大喜び。松田に対して「素晴らしいスポーツウーマンに感謝したい。素晴らしい人だし、あんなに強い相手とリングを共にできて本当に楽しかった。ドイツに来てくれてありがとう」と感謝の言葉を述べた。 試合後には初防衛戦としてIBF世界女子同級4位のファビアナ・バイティキ(28)=チェコ=の挑戦を受ける予定だったが、バイティキが脱水症状で棄権したため、試合が中止となったIBF王者の山中菫(23)=真正=が笑顔でリングに上がり、ルプレヒトとフェースオフ。プロモーターは「来年、4団体統一戦が行われます」と話し、山中が日本女子初の4団体王座統一戦に臨むことが濃厚となった。開催地はドイツか日本のどちらかだという。山中とルプレヒトは笑顔で握手を交わし、写真撮影に応じた。
興行は動画配信サービスのU-NEXTで生配信された。プロ戦績は松田が10戦7勝(1KO)2敗1分け、ルプレヒトが16戦14勝(3KO)1敗1分け、菫が8戦8勝(3KO)、バイティキが24戦21勝(5KO)1敗2分けとなった。(尾﨑陽介)