釜石・野田武則市長の会見(全文2・質疑応答)防潮堤と防波堤は必要
防波堤、防潮堤があると安心してしまわないか?
通訳:これも防潮堤と防波堤についての質問なんですけれども、オーストリアの記者なんですが、ある批判する人たちが、中では防波堤、防潮堤というものは、それがあるから私たちは安全だというふうに人々を思わせて、それで残念ながら命を守ることができないという原因につながるという批判はあると思いますが、それについてご意見ください。 野田:いまおっしゃったとおりでございまして、防潮堤が高くなればなるほど、そこに住む人たちの危機意識は低くなるという、よく言い伝えといいますが、お話がなされているとおりでございまして、何もしなければ、まさにそのとおりだと思いますし、今回の反省点もそこにあると思います。防潮堤があることによって、まあ防潮堤だけではないんですが、例えば今回の3.11だと気象庁の発表が当初は3メーターだったんですね。3メーター、岩手の場合は3メーター、次に6メーター、10メーターというふうに、段階を追って津波の高さが示されたわけですけども、残念ながら3メーターの高さのときに、もうすでに電源が切れてしまいまして、多くの市民の皆さんはその3メーターという情報しか入ってないという状況でございました。 で、3メーターというのは、もちろん大きな津波でございますが、ただ、過去の例からすると、例えば1メーターの津波が来るといって、1メーターの津波が来たことはないんですね。1メーターの津波が来るというと、だいたい10センチとか20センチとか、何度もそういう経験をしてきてますので、3メーターだからといって3メーターが来るとは誰もたぶん、私も思いませんでしたから、たぶん思わなかっただろうと思います。そういう、いわゆる防潮堤があることによって、そういう認識をしてしまう傾向があるというのは、これはそのとおりだと思っています。 だけど、防潮堤があることによって、常日頃そこで安全に暮らせるということも言えるわけでございまして、われわれとしては防潮堤がある中での安全な生活を、われわれとしては必要としているということでございます。ですから、今言った防潮堤があることによる、そのマイナスの部分、これは徹底的に、やっぱり住民の皆さんにお伝えをしていかなければならないし、住民自ら主体的にそういう危険性のあるということについては学んでいかなければならないことだと思っています。これが今回の3.11の大きな教訓の1つだと思います。