グーグル、検索サービスの独占解消案を発表…「クローム」売却は拒否
【ニューヨーク=小林泰裕】米IT大手グーグルは20日、同社の検索サービスが反トラスト法(独占禁止法)に違反していると認定された訴訟を巡り、検索サービスの独占解消に向けた是正案を発表した。スマートフォン事業者らが自由に検索サービスを選べるよう、従来の契約慣行を改める。 【図】一目でわかる…巨大IT企業による独占・寡占の構図
一方、米司法省が求めたウェブブラウザー(閲覧ソフト)「クローム」の売却については「グーグルの開発能力を制限し、消費者に損害を与える」などとして応じない姿勢を示した。
米首都ワシントンの連邦地裁に提出した書類によれば、グーグルの基本ソフトウェア(OS)「アンドロイド」を利用するスマホ事業者に金銭などの対価を支払い、競合他社の検索サービスを標準搭載しないよう求めることを取りやめる。
また、アップルなどのブラウザー事業者に対して、検索サービスをグーグル以外にも切り替えられるよう1年ごとに契約変更することを認めるとしている。これらの是正案を3年にわたって実施するという。
一方で、米司法省が求めたクロームの売却や、グーグルのAI検索結果に情報が使われることをサイト側が拒否できる仕組みの導入については、是正案に含まれなかった。ブラウザー事業者に対し、グーグル検索を初期設定としてもらうために金銭を支払うことも継続するとしている。
グーグルは世界の検索サービス市場で9割のシェア(占有率)を握る。米司法省は2020年、グーグルを提訴。連邦地裁は今年8月、グーグルの検索サービスが反トラスト法に違反しているとの判決を下した。
同地裁は米司法省とグーグルの意見を基に、25年8月までにグーグルへの処分内容を決める予定だ。