その差はどこに?奇襲も空転…パリ五輪卓球女子団体で日本がまたしても“最強”中国の壁を崩せず銀メダルとなった理由とは?
最新の世界ランキングでは、パリ五輪代表に選出されたシングルスの上位3位だけでなく、4位と6位にも中国の選手が名を連ねている。東京五輪後で外国勢に喫した黒星が、平野戦を含めて2つだけと圧倒的な強さを誇る孫も、五輪のシングルス決勝では東京、パリと陳に連敗を喫し、金メダルには手が届いていない。 厳しい環境の有無が、中国との最大の差だと松下氏は指摘する。 「日本の場合、選手たちの周囲を含めて、結果を出しているから何か腫れ物に触るように扱っている感があるけれども、それではダメだと思う。やるべきことはやるし、言うべきところは言わないといけない。そういった部分で中国は日本のはるかに上をいっている。もちろん選手たちは思っていないはずですけれども、中国相手によく戦ったとか、2位でうれしいと思っていたらやはり勝てない。優勝できなかった結果に対して、悔し涙を流すくらいじゃないと、なかなか差は埋められないと思う」 2016年のリオデジャネイロ五輪の銅メダルをはさんで、2012年のロンドン、前回の東京に続いて銀メダルを獲得した。またもや中国の壁は超えられなかったが、東京五輪後の女子卓球界と違っている点がひとつあると松下氏は言う。 「今大会の経験を糧に、張本選手はさらに伸びていく。その意味でも、4年後への期待という意味ではパリ五輪後の方がはるかに大きい。彼女の成長度合いが今後の日本を左右するし、彼女がエースにならなければ逆にちょっと厳しい。だからこそ卓球界全体として、理想的な状況を作り出せるかどうか。周囲が自然と厳しい状況を作り出す中国のようになれないのであれば、選手たち自らがそういうものを作り出していけるかどうか。中国との差を詰められるかどうかは、そこにかかっている」 初めての五輪で手にした銀メダルを、張本はこう語っている。 「まずは負けて悔しい。自分のもっているものは出し切れたと思うけど、それでもまだ足りなかった、という点でやはり悔しいです」 依然として日本の前にそびえる卓球王国・中国の高く険しい壁。ストレート負けという完敗とともに突きつけられた非情な現実と、それらを乗り越えていくための決意と覚悟が、パリ五輪で手にした日本次子代表の最大の収穫となった。
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