その差はどこに?奇襲も空転…パリ五輪卓球女子団体で日本がまたしても“最強”中国の壁を崩せず銀メダルとなった理由とは?
同じシチュエーションは第2試合にも訪れる。 平野は第1ゲームで一時は7-1と大量リードを奪いながら、孫の逆襲の前に最終的には11-13で落とすと、続く第2ゲーム、第3ゲームをともに6-11で奪われた。無念のストレート負けを、平野はこう振り返っている。 「自分の力はかなり発揮できたと思うけど、最後の1点を奪うとか、最終的に勝つまでは至らなかった。中国の選手の底力を感じました」 松下氏も「パリ五輪を通していい調子をキープしていた平野選手が、もっている力をすべて出した展開だった」と第1ゲームを振り返りながら、追いあげられた状況で、日本として取るべき作戦があったと指摘する。 「第1ゲームのような点差をつけられると、あきらめる選手がいても不思議ではない。しかし、孫選手を含めた中国勢は、絶対にあきらめない、というメンタルを叩き込まれている。だからこそ、日本はタイムアウトを取って、孫選手に傾いていた流れを途切れさせる必要があった。たとえ第1ゲームでも、同じ状況になれば中国は必ずタイムアウトを取って、目の前のゲームを確実にものにする。チーム内にいないので詳細はわからないけれども、日本はタイムアウトを取る判断を選手に任せていたように思えた」 続く第3試合では、張本が王から14-12で第1ゲームを先取した。しかし、ここでも世界ランキングで孫と陳に続く3位の王の逆襲にあう。10-12、7-11、6-11と3ゲームを連取された瞬間に、日本の2大会連続の銀メダルが決まった。 東京五輪の決勝に続いて、中国に0-3のストレート負けを喫した。団体戦が採用された2008年の北京五輪から5連覇を達成した最強軍団・中国との差を、松下氏は「残念ながら、東京五輪と比べて詰まったとはいえない」と指摘する。 「中国は監督を含めて、メディアやファン、あるいは卓球界から常に厳しい視線にさらされている。代表選手であっても、国際大会で外国勢に負けるとか、ちょっと油断した面が出たりすると、他の選手と入れ替えるべきだと指摘される。そういった厳しさや危機感のなかで試合に臨んでいると、技術的にも精神的にもまったく違ってくる。厳しい言い方になるけれども、その差が決勝でも出たといっていい」
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