波乱のレースも圧倒的強さ。太田格之進が今季初優勝、タイトル争いは坪井vs牧野の一騎討ちに|スーパーフォーミュラ第8戦鈴鹿
11月10日(土)、鈴鹿サーキットでスーパーフォーミュラ第8戦の決勝レース(31周)が行なわれた。優勝したのは太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)だった。 【リザルト】スーパーフォーミュラ第8戦鈴鹿:決勝暫定結果 2024年のスーパーフォーミュラは、土日2レース制で行なわれるこの鈴鹿大会をもって幕を下ろす。レースウィークを迎えた時点では計算上6名に王座獲得のチャンスがあったが(予選後に5名に)、中でもポイントリーダーの坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S/86.5点)、ランキング2番手の牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING/72点)、ランキング3番手の野尻智紀(TEAM MUGEN/70点)が有力候補と言えた。 しかし上記3人は第8戦の予選で明暗分かれた。牧野が4番グリッド、坪井が5番グリッドを確保した一方、野尻はQ1の赤旗再開後のアタックをまとめられず、Q2進出ならず。14番手からのスタートを強いられた。 ポールポジションはキャリア初PPの太田。2番グリッドには、トップと29ポイント差ながらタイトルの可能性を残す岩佐歩夢(TEAM MUGEN)がつけた。14時40分のスタート時の気温は21℃、路面温度は31℃だ。 注目のスタートでは、フロントロウの岩佐がグリッドから全く動けず。最後尾まで落ちた。先頭の太田は労せずトップで1コーナーを抜け、佐藤蓮(PONOS NAKAJIMA RACING)、牧野、坪井、そして今大会がスーパーフォーミュラでのラストレースとなる山本尚貴(PONOS NAKAJIMA RACING)が続いた。 トップの太田はペースが頭抜けて良く、後続に対して7周で4秒のギャップを築いた。10周目に入りピットウインドウがオープンとなると、まずは牧野、野尻ら5台がピットに。翌周には2番手の佐藤も入ったが、ピットアウト時に左リヤタイヤが脱落するまさかのトラブルに見舞われた。これにより、佐藤のレースは終了となってしまった。 同じく11周目に入った坪井は、1周前にピットインした牧野を逆転。事実上の2番手に上がった。一方で12周目にピットインした太田は磐石の走りでレースを優位に進めた。 そんな中、またしてもタイヤトラブルが発生した。ピットアウト直後の平良響(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)のマシンから右リヤタイヤが脱落。コース上に転がっていくという危険な状況となったため、セーフティカーが出された。このタイミングで、ステイアウトを続けていた大湯都史樹(VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)、岩佐がピットインしたため、全車がピットストップを完了したことになった。 太田、坪井、牧野、阪口晴南(VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)、福住仁嶺(Kids com Team KCMG)のオーダーで23周目にレースが再開。しかし中団でアクシデントが発生したことで、2度目のセーフティカーとなった。スプーンでスピンした笹原右京(VANTELIN TEAM TOM’S)を避けきれず接触した大嶋和也(docomo business ROOKIE)が、マシンを止めてしまったためだ。その後続が混乱する間隙を縫って、Juju(TGM Grand Prix)がポイント圏内の10番手に浮上するシーンもあった。 車両の回収が終わり、レースは3周のスプリントレースとなったが、太田は圧倒的なペースで後続を引き離してトップチェッカー。今季初優勝となった。2位は坪井、3位は牧野だった。 野尻は5位、岩佐は9位で、TEAM MUGENの2台は揃ってタイトル争いから脱落。翌日に行なわれる最終戦に向けてタイトルの可能性を残すのは、101.5ポイントの坪井と83ポイントの牧野のふたりだけとなった。ただ両者の間には18.5ポイントの差が開いており、優勝で獲得できるのが20ポイントであることを考えると、坪井が圧倒的優位な状態でレースを迎えると言える。 なお、チェッカーを受けたのは15台。6台がレースを途中で終えるという稀に見る波乱のレースとなった。
戎井健一郎
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