グループ不正があっても利益4兆円超えのトヨタ自動車 “王座維持”のカギは何か
同時に商品性にも磨きをかけ、世界的に人気のSUVのラインナップを幅広いセグメントで充実させた。TNGAを採用したモデルの投入が始まった2015年以降、収益性は確実に高まっている。 ■好調を維持できるか? 来期以降も好調を維持できるか。カギを握るのがHVだ。 1997年の初代「プリウス」の発売以降、研究開発から生産領域まで、ものづくりの効率化を追求した結果、現在では車種によってはガソリン車以上の台当たり利益を稼ぎ出す。
HVの収益性を裏付けるデータを昨年から立て続けに開示しているのも、環境面だけでなく経営面でも欠かせない存在となったことを裏付ける。「カーボンニュートラルのパワーユニットとして現実的な解にHVを選んでいただいている。需要は非常に根強く、想定を上回る評価をもらっている」。宮崎副社長は現状をそう分析する。 トヨタのHVのグローバル販売台数は2023年が前年同期比31%増の342万台と過去最高水準だった。10年前(2013年、125万台)と比べても3倍弱に伸長した。宮崎副社長は2023年11月に「2026年にもHVのグローバル販売が500万台に達する」との見方を示していたが、足元でのHV急伸の動きを見て「1年前倒しの可能性が出てきた」と自信を見せる。
主力市場の北米では追い風が吹く。世界の環境規制で先行するカリフォルニア州では、2023年の販売台数でトヨタが27万8345台と、テスラ(23万589台)をかわして首位に立った。HV販売の好調が要因とみられ、ホンダも前年比3割以上台数を伸ばし3位(17万2834台)に入った。電動車の販売競争が熾烈な同州にあってHV人気の根強さを示した形だ。 「多くの消費者がHVに興味を持っている」。米フォード・モーターのジム・ファーリーCEOはHVのニーズが着実に増えていることを強調する。同社は昨夏に、今後5年でHV販売を4倍まで増やすことを表明している。