グループ不正があっても利益4兆円超えのトヨタ自動車 “王座維持”のカギは何か
米ゼネラル・モーターズ(GM)も1月、プラグインハイブリッド車(PHV)投入を計画していると公表した。両社はEV一本足に舵を切ることでテスラに対抗しようとしていたが、ここに来て方針を転換する。 HVは車両サイズの近いEVに比べて100万~300万円程度価格が割安で、航続距離も格段に長い。充電の心配が要らないことからアメリカでも利便性の高い環境車として支持を得ているとみられる。 ■欧州もEV市場の伸びが鈍化
ヨーロッパもドイツなどでの購入補助金カットが響き、EV市場の伸びが鈍化。自動車各社はEV関連の投資計画の見直しを示唆する。一方のトヨタはヨーロッパでの2023年のHV販売が71.9万台と過去最高を記録した。 世界的なHV見直し機運の恩恵を最も受けるのがトヨタなのは間違いない。もっとも、EVシフトが消えてなくなったわけではない。 市場の伸びが鈍化しているEVだが、S&P・グローバル・レーティングによると、販売台数に占める比率はPHVを含めて2025年にヨーロッパが30%強(2022年22%)、中国が35~40%(同27%)、アメリカが16~20%(7%)まで到達する見通し。グローバルでも2割前後を占める見込みで、販売面で一定の対応が求められるのは変わらない。
トヨタのEV販売台数は2023年4~12月で8.7万台。マークラインズによると、同年のメーカー別EV販売台数ランキングでは24位にとどまる。2024年3月期の販売台数計画も当初は20万台としていたが、上期に12.3万台、第3四半期には12万台と下方修正が続く。 ■部品メーカー幹部の驚き ただ、トヨタはEV逆襲の準備にも余念がない。2020年代後半に向けて、EVに特化した生産手法の採用や全固体電池をはじめとする複数の高性能電池の展開、独自OS(基本ソフト)「アリーン」の搭載など、生産や開発、事業といった幅広い領域で変革を図る。