箱根駅伝“3代目山の神”青学大・神野大地のいま…“プロ転向”は失敗だった?「もうダメかもな、と何度も」本人が明かす胸の内「それでも心の奥に…」
コニカミノルタに入団も…「時短勤務」の実態
プロランナーを意識したのは、社会人2年目の冬だった。青学卒業後に入社した強豪のコニカミノルタでも期待され、1年目のニューイヤー駅伝でエース区間の4区を、2年目はアンカーの7 区を任された。 しかし、心の中で「東京五輪」の4文字が大きくなるにつれて、実業団に所属するメリットが薄れていった。 「安定的に給料をもらいながら走れる。実業団はすごく恵まれた環境です。でも、社員である以上は、仕事に行かないといけない。次第に、その時間を競技に充てられたら、と思うようになりました」 企業からしても、アスリート社員の扱いは難しい。業務に携わってもらう必要はあるが、働かせすぎて競技に影響しては本末転倒だ。結果、仕事量は絞られることになる。 神野に与えられた仕事も、ごくわずかだった。配属された機能材料事業部では、月・火・木・金の8時半~14時までが勤務時間。時短勤務の中で課されるタスクは事務作業が大半だった。 「上司の方にも気を遣っていただいて、頑張れば1日で終わる仕事の納期が2週間くらいありました。早く終わらせても会社にいる必要があるので、練習や体のケアには行けない。五輪選考会が刻々と迫る中で、もどかしさが募っていきました」 退社を決断したのは、社会人になって2年が経過した2018年4月末。東京五輪のマラソン代表を目指し、プロランナーとしての活動がスタートした。 <次回へつづく>
(「箱根駅伝PRESS」泉秀一 = 文)
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