ミキハウスに誕生!元巨人ドラ1のWエースコンビ 桜井俊貴が高橋優貴を“スカウト”
【赤ペン! 赤坂英一】巨人ファンなら記憶にとどめておきたい出来事である。今オフ、社会人のミキハウス野球部に“元巨人ドラ1”のダブルエースコンビが誕生したのだ。 2015年のドラフト1位・桜井俊貴(31=立大)が今年1月に先に入社。その桜井が誘う形で、10月に戦力外通告を受けた18年ドラ1の高橋優貴(27=八戸学院大)もまた、同じユニホームを着ることになった。この2人はそれぞれ、巨人時代に随分と悔しい思いを味わっている。 桜井は新人時代、囲み取材で自己PRするように求められ「桜井俊貴です。持ち味はスタミナです。応援よろしくお願いします!」と真面目に回答したほどの好青年だった。が、ルーキーイヤーに右ヒジを故障してから運命が暗転する。 右ヒジのリハビリ明け、ファームのプロ・アマ交流戦で東大戦に登板し、6回11安打7失点と大炎上。桜井自ら「黒歴史」と言うこの屈辱を糧に、19年には短期間ながら先発ローテ入りした。 22年に戦力外となり、23年は巨人のスカウトに転身したが、現役への思いは断ち難く多忙と激務の合間を縫って練習を継続。昨オフ、大学の先輩を頼ってミキハウス入社にこぎつけた。巨人1年目にアピールした「持ち味はスタミナ」を、まさに文字通り最高の形で有言実行したわけだ。 その桜井が誘った高橋もポテンシャルは高かった。21年にリーグ最多の26試合に登板し、11勝を挙げてチームの勝ち頭になっている。が、22年には左ヒジの手術を受け、支配下から育成になるとチャンスに恵まれなかった。 最も残念だったのは、高橋が支配下に復帰して初先発した23年4月の広島戦。3回5安打2失点で降板した後、打線が逆転して2番手の横川凱に勝ち星がついたのだ。 高橋が続投し、2失点で切り抜けたら、それをきっかけに復活できたのではないか。あの試合で味わった悔しさを、桜井ともども来年は社会人野球で晴らしてほしい。 くしくも、今オフは戦力外通告で引退を決めた“元巨人ドラ1”がもう1人いる。17年の1位でソフトバンクの育成選手だった鍬原拓也(28=中大)だ。22年には大勢につなぐ中継ぎで3勝2敗、13ホールドをマークしたものの、再三の故障で支配下から育成への降格を3度経験。4度目の戦力外通告を機に、来年は球団職員に転身する。 鍬原も高橋も桜井も一般社会ではまだ若手。彼らが輝いた瞬間を覚えているファンのために、今後も頑張ってほしい。
赤坂英一