「ポケポケ」はなぜ大人も"ドハマり”するのか? 類似ゲームが見逃した「快感」への強烈なこだわり
画面の中で「サクッ」とカードパックの封が切られ、現実のカードパックさながらの手触りを思わせるアニメーション。そして1枚また1枚とカードが姿を現す演出。 【画像】著者が実際にゲットしたレアカードを見てほしい これは10月30日にサービスを開始したスマホ向けアプリ『Pokemon Trading Card Game Pocket』(以下、ポケポケ)における、いわゆる「ガチャ」の演出である。サービス開始約1週間で全世界累計3000万ダウンロードを超えたポケポケの狙いとは何か。
カード開封の快感 デジタルで再現
ポケポケは平成から受け継がれてきた「カード開封の体験」をデジタルの時代に表現し、より多くの人々、特に今の子どもたちのポケモンおよびポケモンカード(以下、ポケカ)への入口となることを期待してリリースされたと考えられる。 ポケカは目下好調であり、その人気から一部カードの価格が高騰し、"投機"の対象にもなっている。直近は価格も落ち着いてきたが、なお熱狂的なファンは多い。 とはいえ、昨今の娯楽における環境の変化、特に子どもから学生における価値観の変化は見過ごせず、何も手を打たなければこの人気継続は難しい。それは「カードゲーム」という遊びの形態がゆえでもある。
TCGが抱える4つの課題
TCG(トレーディングカードゲーム)という遊びの形態は、1990年代に米国のマジック・ザ・ギャザリングから始まり、以降アナログゲームの中心的なジャンルとなった。日本でもポケカや遊戯王OCG(オフィシャルカードゲーム)がその代表例であり、幼少期に触れた読者も多いだろう。 多くのプレーヤーを抱えたTCGだが、遊び始めるにあたり複数の障壁が存在していた。それは、イニシャルコストとランニングコスト、ルールの複雑さ、そして遊び相手の確保である。 イニシャルコストは分かりやすいだろう。TCGを遊び始めるためにはルールに則ったデッキを構築する必要があり、必要最低限のカードを購入する必要がある。 今のポケカであれば構築デッキ、つまり封入されているカードが決まっており、すぐにゲームを行えるカードセットの価格は550~3000円程度である。 レアリティー(希少性)の高いデッキを選ばない限りイニシャルコストはそこまで大きなものではない。しかし、スマホゲームを中心にF2P(Free to Play、基本無料でプレー可能)が浸透したのが今の娯楽環境だ。 自分にとって「面白いか面白くないか分からないものに金銭を支払う」ということへのハードルが高くなっていることは障壁の一つである。 もう一つがランニングコストである。TCGにおけるランニングコストとは「拡張パック」の購入費用を指す。これは、遊びの幅を広げ、トレンドについていくためには必要な出費だ。