「ポケポケ」はなぜ大人も"ドハマり”するのか? 類似ゲームが見逃した「快感」への強烈なこだわり
強くなるにはお金もかかる
プレーしたことのある読者であれば理解できることだが、イニシャルコストで入手する構築デッキは遊びの幅が狭く、また対戦における強度も”それなり”に留まりがちである。 遊びの幅を広げて楽しむためには、狙ったカードが出るまで5枚180円の拡張パックを購入し続けるか、カードの二次流通ショップで購入するしかない。これもTCGの障壁である。 ルールの複雑さも大きな障壁の一つだ。TCGは往々にして、開始当初はシンプルなルールでも、戦略性を追求するたびに新たな効果を持つカードが現れ、時が経てばゲーム全体が高度かつ複雑になる。 ポケカは他のTCGと比べて低い年齢層も対象にしているため、比較的簡素なルール・レギュレーションではあるが、新たに始める人にとっては障壁となっていることは間違いない。 そして最後が遊び相手の確保である。これはTCGに限らず、古来からある囲碁や将棋などテーブルゲーム全般の課題であり、新たに始める際の障壁になり続けている。 娯楽の種類が少なかった時代であればいざ知らず、現代では子ども向け・中高生向けの娯楽が溢れんばかりに存在する。その中で自らと同じ趣味思考を持ち、同じ娯楽を楽しむ仲間を見つけることそのものが、一昔前に比べて困難になった。 小学生ですらインターネット上で共通の趣味を持つ友人を見つけ、マルチプレーゲームを行う時代において、アナログがベースのTCGは相対的に遊ぶハードルが高くなっているのである。
ポケカの喜びの「原点」
これまで述べてきた課題を解決する方法の一つが、シンプルにデジタル化することである。ポケポケでは、昨今のスマートフォン向けゲーム・ソーシャルゲームの潮流に則りF2Pとし、12時間ごとに無料で拡張パックを提供することでプレー環境やコスト面の課題をクリアしている。 また、ルールについても従来のポケカから必要カード枚数を60⇒20と大幅に減らすなど、よりシンプルな独自ルールへと変更。加えてチュートリアルを交えたCPUとの対戦モードを通じて、遊び方を学ぶ環境も用意している。もちろん、遊び相手の面でもインターネットを通じた対人戦の環境が整えられている。 このように、TCGそしてポケカへの入口として、スマートフォン上で遊ぶことが中心となった今の子どもたち、そして大人たちの環境に適した形でポケカに触れることができるのがこのポケポケなのだ。 しかし、単にTCGをデジタル化したものであれば、ポケポケ以外にも過去より存在している。それらにはないポケポケの新規性とは何か。それは本家ポケモンの基本コンセプトでもある「収集」であると考察する。