セダンでEV、ホントに日本で売れる? BYDの新型車「シール」を考える
中国のBYDがセダンタイプの電気自動車(EV)「シール」(SEAL)を日本で発売する。EVは世界的に逆風という話を最近は頻繁に耳にするし、ボディタイプは減り続けているセダンということで、このクルマの先行きについては少し心配になってしまうのだが、実際どうなのだろうか。シールに試乗し、BYDジャパンに話を聞き、ライバルとの比較なども行いつつ考えてみた。 【写真】そもそもBYDのEVセダン「シール」はカッコいいのか! 後ろ姿を写真で確認
■実は堅調? 輸入セダン市場の今 BYDは2023年、日本でSUV「ATTO3」とコンパクトカー「ドルフィン」の2台のEVを発売した。2023年1月~2024年5月の累計受注台数は2,300台を超えている。今回のシールが日本で発売する3つめの車種となる。
日本自動車輸入組合(JAIA)によると、2023年の「輸入車セダンのセグメント別登録台数」では「Dセグメント」(一般的に全長4.6m~4.8m、価格帯は350~600万円)が全体の52%と半数以上を占めている。シールが参入するのはこの市場だ。同じDセグメントの輸入セダンとしてはアウディ「A4」、メルセデス・ベンツ「Cクラス」、BMW「3シリーズ」、テスラ「モデル3」などがある。日本車ではトヨタ自動車「クラウン」あたりが該当する。 この通り、シールが参入する「Dセグメントのセダン」というカテゴリーは、各メーカーの人気車種がひしめき合う激戦区であり、「セダンが売れなくなっている」といわれる日本でも、まずまず堅調な市場でもある。 ■最大のライバルはテスラのモデル3だ! DセグメントのセダンでEVということになると、シールの最大のライバルはテスラのモデル3ということになるだろう。サイズ、性能、価格などで真っ向勝負することになる。
ここで、モデル3とシールの最もベーシックなグレードを客観的に比較してみる。 まずは価格だ。モデル3は531.3万円なのに対し、シールは528万円と若干ながら安い。 航続距離はモデル3が573km、シールは640km。フル充電ならカタログ上、シールの方が長く走れる。モデル3には航続距離706kmの「ロングレンジ」 というグレードがあるものの、こちらを選ぶと価格は621.9万円に上がってしまう。 ボディサイズはシールが全長4,800mm、全幅1,875mm、全高1,460mm、モデル3が全長4,720mm、全幅1,850mm、全高1,440mmで、こちらも大差がない。