極めて低い環境負荷 ESA、島民の暮らしを調査 沖永良部島
エコシステム社会機構(略称ESA)内の基礎研究部会「一つの地球で暮らせる社会を描く研究所OPaRL(オパール)」が2月に鹿児島県・沖永良部島で行った調査で、島民の暮らしによる環境への負荷が極めて低く、日本が目的としている水準(自然の修復能力以下、地球1個の暮らし)を達している世帯が多いことが分かった。OPaRLの石田秀輝研究代表は「世界のトップクラスを走っているということに、沖永良部島の島民自身が自信を持ち、もっと自慢してほしい」と話している。 調査は1カ月間、島内の20~80代の第1~3次産業従事者や無職、14世帯(1~4人暮らし)を対象に行った。食料、住居、交通・通信など10カテゴリー55項目の家計簿をつけてもらい、その支出額から二酸化炭素(換算)排出量を算出する方法「3EID」を用いた。 14世帯の平均排出量は880キロCO2eq(二酸化炭素換算)で、地球1・2個の暮らしに相当。地球2・8個の暮らしとなる日本の世帯平均1829キロCO2eqを上回る世帯はなく、地球1個の暮らし653キロCO2eq以下で暮らしている世帯は6世帯あった。 圧倒的な差の主な要因はエネルギー消費(ガソリン、ガス、電気)にあり、全国平均の30%しか消費していなかった。 4月には同じ14世帯を対象に生活アンケート調査を実施。自然、家族、地域(コミュニティー)との関わりに関する30の設問に答えてもらった結果、自然やコミュニティーとの親和性が全国平均に比べて高く、自然や家族、地域とのつながりに満足し、今の暮らしを幸せに思う人たちが多くいることも分かった。 石田研究代表は「サンプル数が少なく、期間も短く断定的な結論は出せないが、最大排出世帯でも全国平均を下回っており、今回の測定はかなり現実に近いものだと考えている。少なくとも、一つの地球を下回る環境負荷で暮らしている人が多くいることは、極めて重要な結果」と強調。 アンケート結果についても「過去の学術調査で明らかになった、日本の文化をつくり上げた要素が濃く残っていることと良い一致を示した。自然とコミュニティーが一つの地球をつくっているらしいということが分かっているので、今後、どうやってコミュニティーをもっと活性化していくかを議論したい」と話した。