“消えた天才騎手”田原成貴「鈴木さん、久しぶりですね」因縁スポーツ紙記者と再会で…「ブライアンは終わったな、と」三冠馬を大いに語る
1990年代唯一の三冠馬ナリタブライアン。「シャドーロールの怪物」と称された名馬の“30年後の真実”を追った書籍『史上最強の三冠馬ナリタブライアン』(ワニブックス)から主戦騎手を務めた南井克巳、好敵手マヤノトップガンの主戦だった田原成貴が語った「ブライアン評」を転載にて紹介します。(全4回の第3回/第1回へ) 【写真】「60代になった田原成貴の今の姿…色々あったが元気そうでよかった」引退式では武豊と笑顔で握手。トウカイテイオーや伝説のトップガンvsブライアン…天才がまたがった名馬とともに見る
消えた天才ジョッキー・田原成貴との対面
外側から見ている人のほうが当事者よりも客観的に状況や物事を判断できるという「岡目八目」という言葉がある。「他人の正目」とも言う。2023年暮れに取材を依頼したひとりは、ナリタブライアンを語る上で、まさに岡目八目だと思ってのことだった。だが、取材に応じてくれるのかどうかが心配だった。 その人物とは、元騎手の田原成貴だから。 彼が2001年に競馬界を去ってから、その名前は、過去の記事を読んだり過去の映像を見たりする時以外では、彼が事件を起こしてニュースになった時くらいだった。「もう二度と取材をすることはないだろう」とも思っていた。だから競馬界を去ってからの彼の足跡については関心がなかった。ところが、2020年に東京スポーツの専属解説者となったことで私の心境は変わった。 東スポでは競馬の予想や予想記事の執筆、YouTubeの「東スポレースチャンネル」の出演やボートレース振興会の仕事、地方競馬の展開予想など多岐にわたっている。2022年の有馬記念の展開予想は67万回も視聴されているので、競馬ユーチューバーとしてはトップランクの人気を博している。 同じマスコミ側の人間となって活躍しているだけに、「いつか再会する機会があるかもしれない」と思っていた。 私が所属するサンケイスポーツは、騎手そして調教師だった田原成貴の言動に批判的だったため、私が競馬担当になるまえから彼とは確執があった。だが私自身は、彼と懇意にしている複数の生産者と親しかったことで個人的に友好関係を築いていた。 彼が主戦を務めるマヤノトップガンの話を聞くために彼の師匠である谷八郎の厩舎を単独で訪ねた際、デビュー後に目覚ましい活躍を見せていた福永祐一がやってきて田原成貴に頭を下げて教えを請うた姿も目撃している。