“消えた天才騎手”田原成貴「鈴木さん、久しぶりですね」因縁スポーツ紙記者と再会で…「ブライアンは終わったな、と」三冠馬を大いに語る
ブライアンは終わったな、と
レースが終わってから、坂口調教師の口から出たのが「ちょっと急仕上げだった」という言葉だった。 「急仕上げだったら、もっと僕は(仕掛けどころを)我慢していた。急仕上げプラス俺が強気の競馬をしたぶん、最後のクビ差(負け)になった。マヤノトップガンの全能力を発揮すれば、俺がスパートしたところからでもゴールまでもつと思ったんですよ。(でも)ちょっと止まった。止まったということは、僕の仕掛けが早いということなんです。坂口先生のいう『急仕上げ』と僕の強気の競馬。両方マイナスでしたよね。だから、急仕上げでなければ勝っていたと思いますよ。あの仕掛けでいっても。トップガンが90の仕上がりなら今のブライアンだったら追いつけないと思ったんですよ」 田原さんは僕の質問を待たずに続けた。 「結果論で言うと『ナメたのかな。強気すぎたかな』と。強気すぎたぶん、仕掛けが早くなった。止まったのは仕掛けが早かったから。仕掛けが早いといっても、ひと呼吸かふた呼吸ですよ。ふた呼吸早かったな、と思う。僕のミスです。ただ、昔のブライアンだったら、3馬身くらい(マヤノトップガンを)かわしていたのかもしれない」 田原さんはその時、有馬記念で抱いた思いを再認識したという。 「ブライアンは終わったな、と」 <つづく>
(「競馬PRESS」鈴木学 = 文)