中堅企業は7,749社、国内全売上高の16% ~約6割が億単位の設備投資進める
市場占有率で見ると、最も高いのは「大阪府」の22.90%で、大企業の市場占有率(21.42%)を上回っており、中堅企業の存在感が極めて大きい地域と言える。続いて高いのは「山口県」の17.54%。同県には大企業が存在せず、中堅企業が地域牽引の主役となっていることが分かる。
中堅企業の推移 ~2019年からの5年で820社減少、コロナ禍での「減資」が影響
過去データを元に、2014年以降5年毎の中堅企業数の変動について分析すると、2014年時点では8,623社が該当。その5年後となる2019年時点では、54社減少して8,569社とほぼ横ばいで推移した。総数に大きな変動はなかったものの、5年間で新たに該当した企業(表上「In」と表記)もあれば、条件に該当しなくなった企業(同「Out」)もある。2014年から2019年にかけては、1,578社が新たに中堅企業に該当し、1,632社が該当しなくなった。新たに該当した理由で最も多いのは「従業員増」で、全体の約半数。該当しなくなった理由では、「減資」や「従業員減」が多いが、「中堅企業から大企業へ」成長した企業も140社ある。 2019年から2024年の5年間では、新たに中堅企業に該当した企業1,367社に対し、該当しなくなった企業が2,187社と、総数では820社の大幅減少となった。該当しなくなった理由で最も多かったのは「減資」の973社で、2014年-2019年(364社)の約2.7倍に増加している。これは、2020年春に発生したコロナ禍での急速な経済収縮に伴い、資本の取り崩しや税制優遇のある中小企業となることを選択した企業が多かったものと推察される。
一方で、「中堅企業から大企業へ」成長した企業も127社あり、コロナ禍にあっても中堅企業の成長ポテンシャルが発揮された例と言えよう。2014年以降の傾向を見ると、5年間で概ね1,500社前後が入れ替わっており、一定の新陳代謝が発生している。
中堅企業の成長意向(設備投資) ~8割が2024年度中の設備投資へ
帝国データバンクが2024年5月に発表した「2024年度の設備投資に関する企業の意識調査」をもとに、中堅企業の設備投資動向を分析した。 中堅企業のうち、2024年度に設備投資を「実施」「予定」「検討」している企業は79.3%にのぼり、全企業の58.8%を大きく上回った。投資内容では、全企業と比べ「省力化・合理化」「IT化」「DX」の項目が目立つほか、「研究開発」への投資も活発であるという特徴が見られた。 設備投資額では「1億円以上10億円未満」が構成比36.7%と最も多く、「10億円以上」の19.3%と合わせ、設備投資に動いている中堅企業の約6割が億単位の投資を進めている。全企業に比べて投資規模が大きいことが分かった。これらに対する資金調達方法では、全企業に比べ「金融機関からの長期借入」の割合が低く、「親会社やグループ会社からの借り入れ」の割合が高い。中堅企業は、グループなどから安定した資金供給が得られる体制であることも判明した。