中堅企業は7,749社、国内全売上高の16% ~約6割が億単位の設備投資進める
「中堅企業」の実態分析
新たな事業の創出及び産業への投資促進を目的とした「改正産業競争力強化法」が、2024年5月31日、参議院本会議で可決・成立した。アフターコロナで日本経済が回復局面を迎えている中、課題として浮かび上がってきたのが労働生産性の問題や賃金格差。これらの課題解決のため、産業構造の変革と新陳代謝を促す目的で、中堅企業・スタートアップへの集中支援等の措置を講じることを決めた。 従業員2,000人以下で同法上の中小企業に該当しない企業を、新たに「中堅企業」と定義。経済産業省は2024年を「中堅企業元年」と位置づけ、ポテンシャルを秘め成長意欲を持つこれらの企業に対して、大型設備投資やM&Aによる事業拡大を税制面でサポートし、雇用増や賃上げといった地域経済の牽引役としての貢献に期待を寄せる。 そこで、帝国データバンクでは、企業概要ファイルCOSMOS2(147万社収録)から、改正産業競争力強化法の定義に基づく「中堅企業」を抽出し、実態を分析した。
中堅企業の定義
本調査では、「産業競争力強化法」に基づく「中小企業」に該当しない、従業員数(正社員数)が2,000人以下の企業を「中堅企業」と定義。該当する「会社」(株式会社、有限会社、合同会社、合資会社、合名会社)を抽出した。(データは2024年5月時点)
地域経済の牽引役としての中堅企業 ~「大阪府」では中堅企業の売上高が域内の22%占める
2024年5月時点で「中堅企業」に該当する企業は、7,749社。国内企業全体(※)に対する該当率は0.53%であり、概ね200社に1社程度が「中堅企業」に該当する。なお、「大企業」の該当率は0.06%、「中小・その他法人」は99.41%。 また、「中堅企業」7,749社の総売上高(2023年以降の最新期売上高)は324兆6,809億円であり、これは国内全企業の総売上高の15.68%(本稿では「市場占有率」と表記)を占める。大企業の市場占有率21.60%に迫る規模で、国内経済に中堅企業がもたらす影響は大きい。 都道府県別に見ると、中堅企業が最も多いのは「東京都」の3,729社で、全国の中堅企業の約半数が所在する。都内企業に対する該当率は1.90%、50社に1社が中堅企業となっている。次いで、「大阪府」の773社(該当率0.72%)、「愛知県」の432社(同0.58%)と、大都市圏が続く。