中谷美紀「ドイツ人の夫の言葉は心にグサグサ刺さるときもあるけど、公私ともども、夫の存在には助けられている」
◆田舎なのでありがたい だから、仕事をしていないとマズいんです。女優の仕事をしていれば、「家事が完璧にできなくても許される」という大義名分が立つでしょう。(笑) それに、家事が下手な私がのろのろと片付けや掃除をするよりも、自分は外で働いて、プロのハウスキーパーの方にお任せしたほうが経済的な効率もいいのではないかと。 とはいえ、私たちは家を不在にすることが多く、多国籍なヨーロッパでは鍵を預けることは危険なので、ハウスキーパーの方がなかなか見つかりません。最近、ようやくウクライナ出身の女性が週に1回だけ来て下さるようになり、本当にありがたいと思っています。 彼女の息子さんは戦火で被弾して寝たきりなのですが、そんな切ない話も笑顔でしてくれる、心優しい人柄の女性にお世話になっています。
◆50代に憧れて 今年で48歳になったので、50代も目前です。若い頃から、私は50代の女性にずっと憧れていて、「早く50代になりたい」と思ってきました。 若い頃、パリで広さが4畳くらいのメイド部屋を借りて過ごしていた時期があったのですが、その当時、私のような小娘がどんなに頑張っても大人の女性の会話にはとうてい入っていけませんでした。フランスは大人の国ですから、オペラやバレエを観に行っても、絵画を見るために美術館に行っても、大人のマダムたちが大いばりで歩いている。 たまたま何かの機会に招かれて一緒にお食事の席についたとしても、20代の私なんかには目もくれない。おまけに、フランスでは50代はもちろんのこと、60代、70代でも女性が恋をするのがあたりまえ。 50代以上のマダムにはマルグリット・デュラスのような素敵な女性がたくさんいるでしょう。自分も早くその素敵なマダムの仲間入りができたらなって。 日本では、50代の女性は「おばさん」なんて言われて本当に失礼な話ですけど、私は、女性は50代からが本番だと思っているので、年齢を重ねるのはちっとも怖くありません。
【関連記事】
- 中谷美紀「あろうことか四十路を過ぎて結婚をすることに。見返りを求めない立派な夫だからこそ、私たちの関係は成立している」
- 中谷美紀、田中圭が語る、夫婦の衝突を避ける必殺技「暴走しそうな時はブレーキをかけて」
- 中谷美紀 ごみ出しでは改めて東京のマンションのありがたさを感じたりして。ご近所づきあいに山歩き、庭仕事。ザルツブルクでの「憧れの田舎暮らし」について
- 中谷美紀 野菜中心の食生活がヘルシーだと信じて疑わず、お肉や卵を控えていたら…「よかれ」と思って摂取していたものが仇に、控えていたものが最も必要なものだった
- 売野雅勇「作詞活動40周年。タイトルと最初の2行に命を懸け、名詞を大切に。娘の愛犬の力も借りて〈ヒット〉をキャッチする」