中谷美紀「ドイツ人の夫の言葉は心にグサグサ刺さるときもあるけど、公私ともども、夫の存在には助けられている」
◆夫の存在に助けられている それは彼が奏でるヴィオラという楽器も同じです。ヴィオラは決して主役じゃない。ヴァイオリンやチェロが華やかな主旋律を弾いているときに、ンパ、ンパって伴奏している楽器ですからね。 そんなふうに、演奏者でありながら、オーケストラ全体をマネージメントする仕事もしている夫と結婚したことは、私にとって大きなプラスになりました。 家で日常会話をしていてもアートに関する様々な話題が上るので、彼と出会っていなかったら知りえなかった舞台裏の様子を知ることができたり、「マーラーは、実はウィーンでは嫌われ者だったので、バーンスタインが再び取り上げるまで、彼の曲はずっと演奏されなかった」などという作曲家の秘話を教えてもらえることも。 ドイツ人なので、言いたいことはオブラートに包まずなんでもはっきり言うので、彼の言葉が心にグサグサ刺さるときもありますけれど(笑)、公私ともども、夫の存在にはやはり助けられていると思います。
◆専業主婦には向かないたち そんな夫と42歳のときに結婚して以来、今は1年の約半分をウィーンやザルツブルクにある山荘で過ごし、残りの半分は仕事をするために日本に帰ってきている生活です。昨年は久しぶりに日本の連続ドラマ『ONE DAY~聖夜のから騒ぎ~』にも出演させていただきました。 昨今は「確実に数字を見込める」ということで、小説や漫画の原作をドラマ化した作品がほとんどですが、『ONE DAY―』はまったくのオリジナル作品で、スタッフとキャストが一丸となって物語を組み立てていく。 そんなみなさんの熱意に魅力を感じて、参加させていただくことに決めました。撮影中も充実していて、とてもやりがいのある作品だったと感じています。 ただ、正直なところを言えば、ザルツブルクの田舎で過ごしている日々のほうがずっと居心地がいいですね。ビルだらけの都会とは異なり、手つかずの豊かな自然に囲まれているので、朝起きて、お天気がいいだけで幸せですし、雨が降ったら降ったで雨だれの音を聞くだけでも楽しい。 今の季節でしたら、のんびりとソファーに腰を下ろして、野の花が次々に開いていく光景を眺めているだけでも幸せです。 その一方で、私は専業主婦には向かないたちでして。(笑)家事が本当に下手なんですよ。お掃除はまだマシですが、片付けが大の苦手で。お料理も、もやしと豚バラ肉の炒め物とか、ごく簡単なものばかりです。
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