ホンダ・日産がともに抱える難題、中国の過剰生産能力-統合へ対応急務
(ブルームバーグ): 経営統合を含めた選択肢を検討していることが明らかになった日産自動車とホンダが共通して直面する課題の1つは、比亜迪(BYD)など地場の新興勢力が台頭する中国での過剰な生産能力の解消だ。世界最大の自動車市場である中国で日系を含む海外勢の販売は激減しており、早急な対応を迫られている。
業績が悪化している日産は、再建計画の一環として世界での年間生産能力を100万台引き下げ400万台にする計画だ。日産のデータによると、同社の中国での前期(2024年3月期)生産台数は77万9756台と近年のピーク時からほぼ半減した一方、野村証券によると同社の中国生産能力は150万台。足下では約72万台の余剰が生じている計算だ。
苦しい状況はホンダも同様だ。中国での生産能力149万台に対して前期の生産実績は約117万台にとどまった。ホンダの青山真二副社長は11月の会見で、今期(2025年3月期)中に96万台まで削減する一方、新たに立ち上げるEV専用工場で24万台が上乗せされる見通しだと述べた。120万台となる生産能力は販売のペースに対して過剰で、さらなる削減を前提にパートナー企業などと協議を進めているとしていた。
中国では日系に限らず海外勢は厳しい戦いを強いられており、米ゼネラル・モーターズも今月、中国での工場閉鎖や事業再編などに伴い50億ドル(約7700億円)を超える費用・評価損が発生する見通しだと発表した。日産とホンダは依然生産能力に余剰を抱え、中国での拡販もすぐに見込めない中、削減に向けてさらなる努力に迫られそうだ。
マッコーリー・グループのアナリスト、ジェームス・ホン氏は18日のブルームバーグテレビジョンのインタビューで、ホンダも日産も販売の減少幅が大きい中国市場が「最大の懸念事項」との見方を示した。「両社とも中国市場における固定費負担を少なくともいくらかはカバーするために大幅な生産能力削減を行うことになる」と続けた。