ホンダ・日産がともに抱える難題、中国の過剰生産能力-統合へ対応急務
次世代技術に期待も
日産の坂本秀行副社長は11月のアナリスト向け説明会で、グローバルの生産能力約500万台に対し、今期(25年3月期)の生産見通しは320万台だと説明した。平均稼働率が全体では64%なのに対し、中国を除くと72-73%で中国の不振が際立っている。ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)の吉田達生シニアアナリストによると自動車業界で「望ましい水準」とされる稼働率は約8割。
日産は今年3月に公表した中期経営計画で、26年度までの3年間に年間の世界販売台数を100万台上乗せする計画を示していたが、中国などの販売不振を受けてわずか7カ月あまりで撤回。逆に生産能力の2割削減や9000人のリストラなど事業規模の縮小に迫られているが、詳細については明らかにしていない。
シティグループ証券の吉田有史アナリストは11日のリポートで、稼働率が低迷する中国が日産の削減計画の半分以上を占めると予測を示した。
日産の地域別生産能力と稼働率一覧
BIの吉田アナリストは、「中国市場が日本メーカーにとってまた儲かるマーケットにならないとは言わないが、目先3-5年はそんなうまい話にはならなさそうだ」と話す。そのため日産も少なくとも一旦は生産能力を削減し、販売が回復したら能力を再び伸ばせばいいと続けた。
過剰な能力削減が急務となる中、日産も手をこまぬいているわけではない。坂本副社長によると、生産ラインのスピードやシフトパターンの変更、老朽ラインの新鋭ラインへの統合、栃木工場(栃木県上三川町)に導入した次世代生産技術の活用については既に取り組みを始めており、来年や再来年に効果が出てくることを見込んでいるという。
--取材協力:Adrian Wong.
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Tsuyoshi Inajima