16歳で引退のアリサ・リウ、競技復帰後の演技に“深み” 坂本花織も歓迎する天才少女の復帰
グランプリ(以下GP)シリーズ第4戦・NHK杯(11月8~10日、東京・国立代々木競技場第一体育館)のエキシビションで、女子4位のアリサ・リウ(アメリカ)は、レイヴェイが歌う『Let You Break My Heart Again』を、しっとりとした滑りで表現した。リウは今季のショートプログラムでも、レイヴェイによる『Promise』を使っている。母が中国人バイオリニストだというレイヴェイ同様、父が中国からの移民であるリウも、中国にルーツを持つ。 【写真】華やかな衣装が印象的な坂本花織 リウは、ジュニア時代から高難度ジャンプを跳ぶ天才少女として有名だった。2019年1月の全米選手権を13歳で制し、史上最年少の全米チャンピオンとなる。また同年8月、ジュニアGPアメリカ大会のフリーでトリプルアクセルと4回転ルッツを決め、1つのプログラムの中でトリプルアクセルと4回転を成功させた初めての女子となった。 その後体の成長に伴うジャンプの不調も経験したが、16歳で2022年北京五輪に出場、6位に入る。その約1カ月後に行われた世界選手権(フランス)では、銅メダルを獲得。ようやく試合でトリプルアクセルを跳ぶところまで復調、結果も残してさらなる活躍が期待されたが、世界選手権直後に引退を表明した。 リウがSNSで引退を明らかにしたのは、北京五輪シーズンを終えて参加していたスターズ・オン・アイス2022東京公演(2022年4月、東京・国立代々木競技場第一体育館)の最中だった。筆者は観客として当公演を観た翌朝にリウの引退表明を知り、驚いた記憶がある。 約2年間の休養中に名門カリフォルニア大学ロサンゼルス校の学生になったリウは、今年3月、SNSで競技に戻ることを明らかにした。olympics.comによるインタビューで、リウは休養が必要だったこと、多くの新しい経験をしたことを語っている。そして今はいろいろな方法で自分を芸術的に表現できる気がすると言い、2度目のオリンピック出場への意欲も示している。