日本オープンは5月開催が理想!? “恐怖のラフ”生んだ事情と「開催時期変更案」【小川朗 ゴルフ現場主義!】
選手の飛距離が飛躍的に伸びていることも影響
今回、東京ゴルフ倶楽部でラフがシビアになった原因は、ここのところ出場選手の飛距離が飛躍的に伸びている事情もあります。「例えばこれでラフが短かったら2日間で15アンダーぐらい行っちゃっていると思うんです。それはやっぱり紙一重。ここで20アンダー出ちゃうんじゃないかって。みんな心配してたんです」(山中氏)。 その根拠となっていたのが、現在JGTOのドライビングディスタンスランキング4位(307.4ヤード)の飛ばし屋、幡地隆寛選手のデータです。実は今大会に備え、早い段階からテストヒッターに練習場での試打とラウンドをさせるプランが浮上。幡地選手に白羽の矢が立ったというのです。 その結果は、関係者に衝撃を与えるものでした。「もう毎ホールセカンドがピッチングウェッジか9番なんですよ。やっぱり選手たちのパワーやボールとかクラブの性能とか多くの理由があると思いますが、200ヤードぐらいは7番アイアンとかで打ってきちゃうんです。520ヤードぐらいのパー4もセカンドを8番とかで打つんですから」。(同)こうしてラフを厳しくし、ドライバーを容易に持てないようなセッティングになりました。 さらには「練習場の右側に、スライスを打ってもらったら、9番ホールに出てしまった。それで最高到達地点の高さとかで計算して、9番ホールの右側にクレーンで吊った30メートルの高さの防球ネット3つを設置しました。左側も道路なので、こちらにもネットを設置しています」(同)と、練習場にも打球事故対策を講じることになったのです。
雨続きの裏で活躍した「サブエア」システム
さらにグリーンの軟らかさも、ラフが長くなった理由の一つでした。「理想はグリーンが硬くできれば、ラフもそんなに伸ばす必要はないんですよ。今、コンパクション(※)で21ぐらいだと思うんですね。これが僕らの理想とする24ぐらいになると、やっぱりラフから打ったら止まらないけど、フェアウェイからなら止まるんです」。 結局、コンパクション24は実現せず決勝ラウンドは2日間とも21.5どまり。理想の硬さは実現できなかったわけです。原因は開幕前の火曜日と水曜日に「70ミリの雨が降った」(関係者)こと。ただ、グリーンの速さは「12フィート4分の1」まで上がっていました。この裏で活躍していたのが、グリーンの地下に設置されていた「サブエア」システム(埋設された配管により土壌に空気を送り込んだり、余分な水分を排出したりするシステム)。 この秘密兵器について解説してくれたのが東京ゴルフ倶楽部のグリーン委員長と理事も務める志村和也氏。「移動式のサブエアシステムを使いました。効果は大きかったですね。通常のグリーンキーパーが16人、近隣の日高カントリークラブなどから70人くらいは延べ人数で応援に来てくれていると思います」。