相次ぐサプライズ人事 次期トランプ政権の狙いは…【Bizスクエア】
――中国に60%の関税をかけるという話だが、中国経済は苦しい時だから、かなり効いてくるのではないか。 明星大学経営学部教授 細川昌彦 氏: 効いてくると思う。8年前に比べて何が違うかというと、まさに中国経済が相当いま、デフレ経済でダメージ受けているというこの時にかけられると、相当深刻な状態になると思う。 ――中国企業にダメージがあるだけではなく、アジアや日本の企業は部品や素材、製造機械などを中国に輸出していて、それが中国の対米輸出に繋がっている。対米輸出が中国から止まれば、日本から中国へ出ていくものも細り、サプライチェーンの組み替えをしなければいけなくなる。 明星大学経営学部教授 細川昌彦氏: 日本企業が一番悩ましいところだと思う。ただ中国から対米輸出の部分はそうだが、他方で中国の内需。それから中国から、東南アジアや南米、ヨーロッパへの輸出は依然としてあるから、全くの中国から撤退ということにはならないと思う。だからそこの仕分けをどうしていくかというのが、これから大きなテーマになる。 ■次期トランプ政権の産業政策 バイデン氏の施策から大転換 関税の問題で、もう一つ注目するのはメキシコの存在。トランプ前大統領はメキシコ国境を越えて輸入される全ての自動車に100%の関税をかけるとしている。現在メキシコには287社の日系の自動車関連企業があり、日本メーカーの車、およそ74万台がアメリカへ輸出されている。 ――元々、NAFTA(北米自由貿易協定)があるので、メキシコからは無税でアメリカに輸出できるから、日系メーカーはメキシコに工場を作って、たくさんアメリカに輸出している。中国からの迂回輸出を回避するために「メキシコ国境を越えて輸出される全ての自動車に100%の関税をかける」と言っていて、戦々恐々だ。 明星大学経営学部教授 細川昌彦 氏: 単に、中国からの安いものが来ないようにというだけではなく、「迂回輸出でアメリカに入っている」というのは大問題になっている。これは何らかの対策をやると思う。ただし、「100%関税」に関しては、額面通り受け取る必要はないと思う。 というのも、選挙戦でのレトリックで、実際上やられる政策とは一緒ではないということだ。だから選挙戦では激しいことを言う。何らかはやるが「100%関税」という収まりにはならないと思う。今後メキシコとどう交渉していくかだが、アメリカとメキシコとカナダという北米でのUSMCA(NAFTAの再交渉に伴いアメリカ、メキシコ、カナダの3か国で合意した新協定)という協定を結んでいる。その協定の中のルールを変えていき、北米での部品の調達比率を高めていくというルールを変えていくなどの交渉はあると思う。
――日系メーカーは現地での部品調達率を上げるなどを迫られてくる可能性があるのか。 明星大学経営学部教授 細川昌彦 氏: サプライチェーンの見直しは、避けて通れないと思う。 (BS-TBS『Bizスクエア』 11月16日放送より)
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