相次ぐサプライズ人事 次期トランプ政権の狙いは…【Bizスクエア】
明星大学経営学部教授 細川昌彦 氏: 自分の方から勝手に脱退しておいて、TPPの日米の関税引き下げは両者で、パッケージで、ギブアンドテイクで合意する。だから日本の農産物とアメリカの自動車関税5%がセットで合意していた。TPPから脱退すると、日本の農産物、オーストラリアや競争相手はどんどん日本に安い市場価格で入っているのに、アメリカは昔のままだと(自分たちから勝手に脱退したのに怒って)それをちゃんとよこせと言ってきた。 本当はTPPと同じようにギブアンドテイクで、アメリカの自動車関税とセットでないと駄目なのに、自分たちがもらうところだけ貰って、やらなければいけない自動車関税という支払代償は一切手をつけずというのが、日米貿易協定の決着だ。 ――日本からすると、一番嫌なのは最大の輸出品目である自動車に関税をかけられることだ。今回も追加関税という時に、アメリカは「脅しの材料」「武器」としてそんなことを言う。 明星大学経営学部教授 細川昌彦 氏: 「自動車関税25%の制裁」という日本が一番「ギャッ」と言いそうなところにかけてきた。欲しいのは、「農産物の関税」だった。今回も違うもので、どういう交渉をしてくるか。 ――今回、アメリカが欲しいものは、何か。 明星大学経営学部教授 細川昌彦 氏: 何かわからない。わからないから日本から「こういうことをやれる」ということを先に出していくことも大事だ。 ■実は日本は「対米投資」世界1位! これからどう対応すべき? ――例えば、日米のバランス。貿易を見ると、アメリカに対して、日本は9兆円ぐらいの貿易黒字を持っている。アメリカから見れば赤字で「けしからん」という話だ。 明星大学経営学部教授 細川昌彦 氏: だからそこに手をつけようとすると「農産物や防衛の装備品、もっと買えます」といってこの赤字を減らしていくといくのは、もちろんある。もう一つ見なければいけないのは、日本からアメリカへの「投資」。 対米投資残高を見ると、日本は世界第1位の対米投資国で投資をしているということは、向こうに工場を作り、雇用を生んで貢献をしている。実は安倍元総理もトランプ氏にそれを最初にアピールした。貿易だけ見ているのではなくて「投資を見てくれ」と。これが今日どうなっているかというと、安倍元総理が言った時よりも投資が1.5倍に増えている。だから「これだけの貢献をしている」ことを言うとともに、既にやっていることだけではなく、これから先も「実は日本企業はアメリカでこんな投資ができる。あれも投資できる」と、「投資」を戦略的なカードに使っていく。これは交渉の上でものすごく大事だと思う。