「クロ現」やらせ疑惑で、NHKが中間報告公表(全文)
●相談場面の撮影について ・B氏がA氏に相談する場面は、斜向かいのビルの屋上からブラインド越しに撮影され、音声は室内に置かれたマイクから無線で飛ばす方法で収録された。 ・カメラマンとディレクター、音声照明マンは、ビルの屋上に移動して撮影にあたり、室内には記者が残った。 ・カメラが回りはじめてからまもなく、記者が、「よろしくお願いします。10分か15分やりとりしてもらって」などと話す声が収録されている。 ・B氏とA氏のやりとりが一通り終わると、記者が、「お金の工面のところのやりとり3がもうちょっと補足で聞きたい」などと声をかけ、やりとりの終わりには、A氏が「こんなもんですか」と記者に話す声が収録されている。 ・映像素材を見た限り、記者がやりとりの文言を指定したり、新たな内容を付け加えたりはしていない。 ・しかし、番組を見た視聴者の多くは、このような形で撮影が行われたとは想像し得ないと思われる。取材、撮影の手法が適切だったかどうかの観点から十分に検証する必要がある。 ●B氏が多重債務者であるのは事実か ・B氏は、数百万円の借金があると話している。番組でも「数百万円の借金を抱えた男性」と紹介し、B氏は、撮影されたA氏への相談の場面などでも、経済的困窮を語った。 ・B氏から提供された債務関係の資料をNHKの職員弁護士が点検したところ、「多重債務者と言える」とのことであった。 ・「B氏が分譲マンションを所有し、賃料収入がある」と一部で報じられていることについて、B氏は、「マンションは、知人が単独名義で購入したものだ」と説明した。登記簿も知人名義となっている。
●番組の取材であることを伝えたか ・A氏は、自らを撮影されたことについて、「NHKの番組取材であること、テレビで放送されることすら知らされなかった。資料映像か何かであると思った」と話している。 ・記者は、「『熱視線』で放送することは、ホテルでの打ち合わせで伝えたはずだし、少なくとも撮影現場では、放送日も含めてA氏に伝えた」としている。 ・ディレクターも、「撮影の際に、NHKの担当ディレクターと名乗って放送日を伝え、相談の場面を斜向かいのビルから撮影することも事前に説明した」と話している。・カメラなどの機材には「NHK大阪報道」のステッカーが貼られていた。 ・ただ、「クロ現」で全国放送することについては、記者は「B氏を通じてA氏に伝えたつもりだが、実際にA氏に伝わったかは確認はしていない」と話している。 ●口止めの依頼などはあったか ・A氏は、今年3月に週刊誌で報じられる直前に「『記者が口止め料を払うと言った』とB氏から聞かされた」としている。 ・これについてB氏は、「話が週刊誌に出ると騒ぎになると思ったので、『足代を払うから止められないか』とA氏に電話したのは確かである。私が払うのは変だから、『記者が払う』という言い方をしたかもしれない。私の独断であり、記者は関係ない」と述べた。 ・記者は、「B氏にそのようなことは頼んでいない」と口止めの依頼を否定した。 ・さらに、記者とB氏が27年3月1日に大阪市内のホテルでA氏と面会した際、記者がA氏に「シラを切って下さい」と言った、と報じられている。 ・これについて記者は、「A氏から『自分が番組に出たことが人に知られた』と言われたが、音声や映像を何重にも加工したので特定されるはずはないと思い、取材源を守る意味で、『シラを切ってください』とお願いした。“やらせ”を否定してくれという意味ではない」と話している。