「クロ現」やらせ疑惑で、NHKが中間報告公表(全文)
●A氏を「ブローカー」と伝えたことについて ・記者は、B氏より、「『出家する方法』について近くA氏に相談に行く」と聞かされた2ことから、B氏がA氏に相談する場面の撮影を申し入れた。 ・4月19日の撮影当日、記者ら取材班は、B氏がA氏に相談する場面を約19分間、A氏の単独インタビューを約40分間撮影した。 ・相談場面の映像の中でA氏は、「得度」「度牒」「僧籍」などの専門的な用語を用いながら、出家による名前変更の方法や費用、家庭裁判所における手続きが必要であることなどを説明している。 ・単独インタビューの中でA氏は、自分のことを「われわれ」や「われわれブローカー」と呼び、また、「出家詐欺」の舞台となる寺や住職の見つけ方や勧誘方法、多重債務者を説得する際の言葉の使い方などを詳しく解説している。 ・記者は、A氏が「出家詐欺」の手口を詳細に語り、自らを「われわれブローカー」と称したことなどから、ブローカーに間違いないと思ったという。 ・これに対してA氏は、自分がインタビューなどで語ったのは、数年前、知人の住職に師事して寺に出入りしていた時に見聞きした知識や、十数年前に知人から聞いた「出家詐欺」に関する話などであり、自分はブローカーではないと話している。 ・記者の認識とA氏の主張は大きく食い違っている。 ●指摘された場面の構成について ・記者によれば、一連の取材は、「多重債務者」であるB氏から、「A氏に出家詐欺の相談に行く」と聞いたことをきっかけに始まり、B氏にA氏との交渉を依頼し、相談の場面を撮影するという流れで行われている。 ・ところが、番組のコメントと映像は、記者がまずブローカーの存在を突き止めてインタビューを行い、更にブローカーの元を訪れた多重債務者との相談を取材し、相談後に債務者を追いかけて、犯罪につながる認識はないかを質す流れになっている。 ・視聴者の多くは、記者はブローカーから了解を得た上で、多重債務者が相談に現れるのを待って撮影したと、実際とは異なる取材過程を印象づけられたと思われる。 ・構成が適切さを欠いていなかったか、演出が過剰ではなかったか、という観点から、検証をさらに進める必要がある。