主役ばかりじゃ良い舞台はつくれない・石井琢朗さん プロ野球のレジェンド「名球会」連続インタビュー(44)
2千本を達成した06年に右膝の半月板を損傷したんですよ。やっちゃったなって思ったんですけど、病院にも行かないで無理して試合に出させてもらった。結局、シーズンオフに手術を受けました。ほぼ半月板を取っちゃう形に近かった。リハビリを丁寧にできてなかったんでしょうね。見切り発車で、自主トレで動いていました。 次の年から膝をしっかり伸ばせないですし、力も入らない。広島に移って現役を辞める前の年(11年)に同じところを手術してるんです。その時は完全に軟骨がない状態。膝のけがさえなければ、もう少し数字が残せたんじゃないかな。やり直せるんだったら、しっかり自己管理をしてやり直したい気持ちはあります。個人的に2500安打はしたかった。近い目標に立浪和義さんがいました。現役を退かれて数字が(2480安打で)止まり、立浪さんを抜けないかなってひそかに思ってたんですけど、なかなか難しかったですね。 ▽選手は満点の結果を求めがちだが、僕の評価はそこではない
僕の中で一つのこだわりは、やっぱり得点だったんです(1298得点は歴代10位)。チームに一番貢献できるのは打点だと思うんですけど、その打点にどれだけ自分が絡めるか。1、2番を打つことが多かったんで、出たら本塁にかえってくるところのこだわりは、すごく持っていました。ホームランバッターは自分で打って自分で得点できる。ホームランが少ない中で得点をどれだけ稼ぐか。(適時打などで本塁へ)かえしてくれた方々には本当に感謝なんですけど、その辺はトップバッター冥利に尽きるっていうか、一つの勲章のような気はします。 僕は現役時代、長嶋さんに近いっていうか、来た球をバンって打つ感じでした。独自の感性でやってた部分があったので、打撃を人に教えることが、すごく苦手だったんですよ。だからコーチになって、バッティングを現役の時より考えている気がします。自分の感性を言葉にして人に伝える作業がすごく難しくて、本当に勉強になります。