主役ばかりじゃ良い舞台はつくれない・石井琢朗さん プロ野球のレジェンド「名球会」連続インタビュー(44)
打撃に関して選手は、例えばキャンプで紅白戦だ、練習試合だとなった時にヒットだったりホームランだったり、アピールするのに100点満点の良い結果を求めがちです。僕の評価はそういうところじゃない。打線は全員が4番ではありません。1番や2番だったら、粘って粘って球数を投げさせ、結果的に三振で0点かもしれないけれど、それまでのプロセスを考えると満点なんですよ。簡単に初球でフライを打ち上げた結果と同じ0点でも、次のつながりを考えていくと全然違う。力と力、一対一の勝負は見ている方は面白いんでしょうけど、チームとしてどう立ち回るかが、すごく大事なところです。舞台をやるにも主役ばっかりじゃ良い作品はできない。名脇役っていうのが、どれだけ役に徹するか。全員が主役になろうとしたら、打線は機能しなくなります。 × × × 石井 琢朗氏(いしい・たくろう)栃木・足利工高から1989年に投手としてドラフト外で大洋(後の横浜、現DeNA)入りし、92年から内野手。98年に横浜の38年ぶり日本一に貢献。名球会入り条件の2千安打は2006年5月に到達した。広島へ移籍して4年目の12年に引退。ベストナイン5度、盗塁王4度。70年8月25日生まれの54歳。栃木県出身。