頼れる選手は誰?「勝負強さ」で選ぶベストナイン
■三塁手(表10、11) 首位打者、最多安打を獲得した川端が3位に止まる中、ルナ(中日)が高ポイントを獲得して1位となった。合計43ポイントはセ・リーグの内野手ではトップの数字だ。打撃ポイントも27と中軸として十分な活躍だったが、特筆すべきは盗塁ポイントの8という数字。僅差での盗塁を8回成功させたのに対して、失敗は0。あまり俊足のイメージはないが、実は来日3シーズンでの盗塁成功率は92%(成功23、失敗2)と素晴らしい成績でもある。中日との再契約は微妙となっているが、印象以上にクオリティの高い選手であることは間違いなく獲得をお勧めしたい選手だ。 上位3人が30ポイントを超えるハイレベルな争いとなったパ・リーグは中村が1位。打点、本塁打の2冠を獲得したが、打撃ポイントでもリーグ2位。重要な場面でもきっちり結果を出していた。1ポイント差で2位だったレアードも打撃ポイントでは中村と同数を記録、同僚の中田を上回る好成績だった。 ■遊撃手(表12、13) 両リーグで30ポイントを超えたのは坂本(巨人)だけ。現在もっとも層の薄いポジションといえるかもしれない。坂本は貧打に苦しむチームの中で自身も苦しんだが、それでも打撃ポイントは29を記録。これはリーグ4位の成績で勝負強さは健在だった。悪い面で目立ったのは田中(広島)。守備マイナスポイントの10は両リーグでワースト。今シーズンの22失策のうち18個が1点差以内の場面と手痛い場面でのミスが目立ってしまった。 大接戦のパ・リーグは日本ハムの中島が1位。打撃、出塁ではポイントが伸びなかったが、盗塁の11ポイントが効いた。ただ上位の選手にほとんど差はなく、リーグ内で飛び抜けた選手はいない1年だったといえるだろう。
■外野手(表14、15) 全選手中1位のポイントを挙げたのはDeNAの梶谷。最も大きかったのは盗塁での17ポイント。盗塁王のタイトルこそ山田に譲ったものの、28盗塁中17盗塁と半分以上が僅差の場面でのもので、走塁で多くの好機を作っていた。さらに出塁ポイントの19もリーグ3位。僅差でのチャンスメイク力ではリーグトップクラスの成績を残した。2位の福留は打撃ポイント37のうち14ポイントを本塁打で稼いだ。これはリーグトップの数字である。ゴメス、マートンの成績が低迷する中、貴重な一発を放つ勝負強さが光っていた。3位の筒香も51ポイントと好成績。DeNAは前述の梶谷が出塁、盗塁で好成績、後を打つ筒香は打撃、出塁がリーグ上位の数字、さらにロペス、バルディリスは打撃ポイントが20を超えていて中軸の攻撃力は間違いなくリーグトップのものだった。 パ・リーグはトリプルスリーの柳田がリーグでは断トツの50ポイントを挙げて1位。打撃と盗塁のポイントもリーグで1位だった。さらに殊勲本塁打の14本も福留と並んでトップとまさに完ぺきなシーズンを送った。2位タイには通算成績では目立たなかった松井稼(楽天)と角中(ロッテ)が入った。松井稼は打順が定まらない中で、打撃ポイント20と各チームの中軸クラスを記録、さらに盗塁でも10ポイントを挙げていてどの打順であっても適応していたことが伺える成績。角中は出塁でリーグトップタイを記録、打撃でも21ポイントと、上位打線を打つ打者として十分な成績を残している。シーズン最多安打の秋山(西武)は数字が伸びなかった。これにはチーム事情の影響もある。西武は1点差試合が両リーグ最小の35試合しかなく、僅差の場面が絶対的に少なかったこと。さらに8、9番打者の出塁率がそれぞれ.214と.205と非常に低く走者を置いての打席が少なくなりがちだったことも響いた。ただ、リーグワーストタイとなる走塁のマイナス9ポイントも数字が伸びなかった原因の1つ。これは来季への課題だろう。