頼れる選手は誰?「勝負強さ」で選ぶベストナイン
毎年シーズンオフに記者投票でそれぞれのポジションの最高の選手を選ぶベストナイン表彰、記者投票という性質上客観的な評価となるので、すべてのファンが納得できる結果となることは難しい。多くの試合を見たファンの実感を伴うベストナインの選出はできないのか?その試みとして、「勝負強さ」を物差しとしたベストナインを選んでみた。 実際に試合を見る際、一番力が入る場面はどこかといえばそれは「僅差のイニング」だろう。「ここで打てば勝ち越せる」「ここでつなげば一気に逆転だ」「このイニングだけは抑えてくれ」などなど、同点や1点差の場面では見る方の力の入り方もそのほかの場面とは大きく異なるものだ。そんな緊迫した場面で活躍した選手をベストナインとして選ぶことができればどうなるのか? その結果を今回は紹介していきたい。
選手を選出するにあたって今回は独自の数字を用意した。野手は1プレーが勝敗に直結する、1点差の場面でのプレーを収集し、それを6つのポイントに分けて集計した。そしてそれらを合計したものを各選手の「プレー価値」として、選手の比較を行い、最も数字の高い選手をベストナインとした。6つのポイントの詳細は以下の通り。 「打撃ポイント」 殊勲打(同点、勝ち越し、逆転の適時打)の本数 「出塁ポイント」 同点または1点差の場面で、得点圏である二塁に走者を進めた、または自身が進んだ回数 「盗塁ポイント」 同点または1点負けている状況で盗塁した回数 「盗塁阻止ポイント」 同点または1点勝っている状況で盗塁を阻止した回数(捕手のみ) 「走塁マイナスポイント」 同点または1点負けている状況で盗塁に失敗、またはけん制でアウトになった回数 「守備マイナスポイント」 同点または1点勝っている状況で犯したエラーの回数(指名打者は除く) チームの勝敗に直結する場面で記録されたプレーを総合すれば、緊迫した場面で結果を出した野手が浮かび上がってくるのではないかという試みである。 また投手はこの方法では選出できないので、「僅差イニングでの無失点率」を選出の基準とした。 「僅差イニングでの無失点率」とは、同点もしくは1点勝っているイニング状況でのイニングを「僅差イニング」とし、そのうち無失点で投げ終えたイニング(交代での降板を含む)の割合のことである。例えば先発して5イニングを0-0の状況で終え、6回に失点して降板した場合の無失点率は83.3%(5イニング÷6イニング)となる。 この方法で選んだベストナインが表1と表2だ。ここからは各ポジションの集計結果を紹介していく。